APC 技術ブログ

株式会社エーピーコミュニケーションズの技術ブログです。

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【Backstage CON 2023 NA】 先行事例のインタビュー結果に学ぶBackstageの始めどころ

ACS事業部亀崎です。 2023年11月6日、KubeCon NA 2023 Co-Located Event、 BacstageCONにやってまいりました。

Backstageについてはこのブログでも何度か紹介しておりますので、ぜひそちらをご覧ください。

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早速最初のセッション「How to Adopt Backstage: Lessons from 20 Adopter Interviews」がとても興味深い内容だったので、早速ご紹介したいと思います。

このセッションはBackstageをSaaS提供しているRoadie社がすでに導入している20社のインタビュー結果をまとめたものです。 このインタビューで、Backstageの主要機能のうち、どこが一番使われていて、どこに課題があるかが見えてきます。

Backstageの中心機能である、次の3つについてのインタビュー結果です。

  1. Software Catalog
  2. Software Template (Scaffolder)
  3. TechDocs

適用企業が一番うまく使われていると回答したのが「Software Template」でした。これは半分以上の企業が適用で成功していると回答していました。続いてTechDocsです。こちらは6つの企業がうまくいっているという回答でした。 これらは利用者自身の課題を直接解決する機能でもあるため、とても適用が進んでいるようです。

Software Catalogは・・・一番中心中の中心の企業ですが、うまくいっていると回答した企業はそこまで多くない模様です。 Software Catalogの課題はその定義です。一般的にはcatalog-info.yamlというファイルを利用者自身が定義するのですが、それ自体が課題とされていました(つまり面倒)。 Software Catalogをうまく活用できていると回答していた企業は登録を自動化する仕組みを作り上げ面倒さを軽減していました。 ただその自動化は少し手間がかかる・・・その部分がやはり課題になりそうです。

その他うまくいっている機能として挙げられていたのはAPI公開です。OpenAPI(Swagger)のUIをBackstage上に公開する機能ですが、これもAPI公開を広く行いたいという課題を直接解決するもののため、必要とする企業では利用が進んでいます。

そしてもう1つが、成熟度等の測定と表示です。非常に基本的な成熟度表示はOSSのPluginでも公開されていますが、成功している企業は独自に成熟度測定を用意したり、さまざまなメトリクスを組み合わせて成熟度として表示しているようです。 このあたりも、初期導入以降さまざまな取組を行っているからこそできるものなのかもしれません。

最後にPlugin。利用者が必要とする機能をPluginとして追加・拡張できるのがBackstageの特徴でもあります。Pluginを利用しているという企業はありますが、独自に開発・追加しているという企業はまだ多くはないようです。ここには一定のハードルがありそうです。

これらの結果を見ると、これから利用を検討している方々にお勧めなのはやはりTemplateやTechDocsをまず検討するということでしょうか。解決したい課題というのも明確ですし、それほど大きなハードルもないようです。これらの機能で成功体験を得て、そこからさらなる拡張を検討されるのがよさそうです。

日本ではまだまだInternal Developer Portal/Platform、Backstageの導入の事例は少なく、何が成功要因になりえるのかといった情報が少ないです。今回のBackstageCONは先行事例を知るよい機会になると思います。

有用な情報をまた別の機会にご紹介したいと思いますので、ぜひこのブログにご注目ください。