はじめに
こんにちは。ACT(Automation Collabo Team)で自動化のご支援をしている横地です。
Ansible の入門書である「Ansible実践ガイド 第4版[基礎編]」が 2023年6月22日に発売されました。第3版に引き続き共著にて携わらせていただきました。
第3版の発売からから3年半経った、第4版のポイントをご紹介します。
ざっくり「改めて初心者に向けにした、新しいAnsible入門書」といったものです。内容的にも価格的にも、最初の一冊として手に取りやすい書籍になったと思います。
ansible-core 2.14、コレクションに対応
第3版では Ansible 2.8 対応でしたが、それ以降構造的な大きな変化がありました。
Ansible 2.9 までは 本体機能もモジュールも一つのパッケージとして配布されていましたが、バージョン 2.10 で本体機能(ansible-base、のちの ansible-core)と「コレクション」に分離されました。
ansible-playbook
などのコマンドラインや、基本的なモジュール類を本体機能に残し、その他のモジュールやプラグインなどは「コレクション」という単位で扱われるようになりました。
これによりリリースサイクルも別々になり、コレクションの新しい機能(追加モジュールや追加オプションなど)を利用しやすくなりました。
第4版では ansible-core 2.14 に対応して、コレクションの扱い方にも触れるようにしました。
改めて初心者を対象にした構成
これまでの改版では内容を追加する傾向にあましたが、今回は異なります。第4版では、改めて初心者向けであることを念頭に置いた構成にしました。
たとえば、ターゲットノードは Linux に絞りました。目次を比較するとお分かりいただけますが、ネットワーク機器、Windows、Azure、コンテナ、AWX あたりは第4版では除外しました。
これにより、ページ数がコンパクトになるとともに1,000円以上お求めやすくなりました。
また、第3版の「第4章 アプリケーションデプロイメント」では、HAProxy などを含む WordPress の構成だったためか「急に難しくなる」といった声をしばしば耳にしました。そのため、第4章では題材を監視システム(Prometheus、Grafana、Node Exporter)に変更し、シンプルな構成を前提にしました。
第4版では [基礎編]
とありますが、実施的には2022年に発売された「Ansibleクックブック」が応用にあたります。それぞれどうぞよろしくお願いいたします。
Playbook 内の表記の微修正
FQCN によるモジュールの指定
前述の、本体機能とコレクションの分離により、モジュール(など)の指定は 名前空間.コレクション名.モジュール名
となりました。
たとえば、本体側に残った dnf
モジュールであれば、ansible.builtin.dnf
。community.general
コレクションに移った timezone
であれば、community.general.timezone
のような指定です。
このような表記を FQCN と呼びます。本書の Playbook は、初心者の段階で親しんでいただくために FQCN 表記にしています。
その他こまごま
そのほかにも、bool 値は true
/false
に寄せたり、name=hoge
のようなオプションの指定を極力やめたりなどの修正をしました。
おわりに
「Ansible実践ガイド 第4版[基礎編]」のポイントをご紹介しました。
「Ansible実践ガイド」自体は、初版と第2版はいち読者として Ansible を学習し、第3版で共著として参加して、第4版でも携わらせていただという経緯でずっと縁のある書籍です。改版できるのもお手に取っていただいた皆様のおかげです。ありがとうございます。
第4版は「Ansibleの学習を始めたくて、新しい書籍を探していた」といった方にぴったりかなと思います。どうぞよろしくお願いします。
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