CWE(Client Working Engineering)部の宮川です。
↓前回Velocloudの帯域ライセンスの考え方とDMPOについて記載しました。
https://techblog.ap-com.co.jp/entry/2024/04/12/211925
↓前々回Velocloudのライセンス概要について記載しました。
https://techblog.ap-com.co.jp/entry/2024/04/03/212034
今回はVelocloudの特色の一つであるLink Steeringについて記載します
尚、本情報は2024/05時点の情報となります。
①VelocloudのBusiness Policyについて
Velocloudでは他のSD-WAN機器と同じように特定の通信を流す回線を選択したり、
LBO(Local Break Out)を利用して拠点から直接宛先に通信を行うことができます。
これを実現しているのがBusiness Policyです。
※細かく言うと長くなるので今回はこのぐらいの理解で大丈夫です。
②Link Steeringについて
しかしながら、機器を運用する時は障害は切っても切れない問題です。
Velocloudでは障害が発生した際に「Link Steering」の機能により
迂回、もしくは通信を断させたままにするなど、通信ごとにSteering(通信のかじ取り)が出来ます。
Link Steeringで設定できる種別は「どういった通信にするのか」と「障害時動作の指定」を組み合わせます。
「どういった通信にするのか」の種類については以下4種類存在します。
(1)Auto = 帯域の状態に応じてどちらかのリンクを利用する
(2)Transport Group = WAN Linkが複数ある場合にGroupingしている回線のどちらかを利用する
(3)Interface = 特定の物理Interfaceを指定する
(4)WAN = 特定のWAN Link名を指定する(interfaceとは異なり、Velocloud設定のWAN Linkを指定する)
※Autoのみ障害時動作を踏まえた設定になっているため後述の「障害時動作の指定」の指定は対象外
このうち、Autoについては「DMPO(Dynamic Multi Path Optimization)」を利用し通信の遅延を測定します。
DMPOによって最良なリンク選択を選択、単一リンクであってもDMPOの動作によりFECの有効化を行い通信品質の向上、リンク障害時も自動的に迂回するなどフレキシブルな通信を実現することができます。
③Link Steeringの「障害時動作の指定」について
先述の通りLink Steeringでは「障害時動作の指定」をすることができ、指定できる種別は3種類存在します。
(1)Mandatory(必須) = 「どういった通信にするのか」で選んだリンク以外を利用しない設定
(2)Preferred(優先) = 「どういった通信にするのか」で選んだリンクを優先し、DMPOにて品質を測定。品質が悪い場合は別のリンクへ迂回する
(3)Available(利用可能時) = 「どういった通信にするのか」で選んだリンクを優先し、断が発生した場合は迂回する。
といったように「どういった通信にするのか」と「障害時動作の指定」を組み合わせをすることで、通信ごとに細やかな設定を実現することが可能です。
④終わりに
まだまだ記載しきれていない技術や実際の検証や実動作等諸々がありますが、一旦ここで区切りをつけ、
別途機会があれば他のSD-WANや別技術などについて記載しようと思います。