はじめに
GLB事業部Global Engineering部 佐々木です。 現地でのData + AI SUMMIT2023(DAIS)に参加している永江の報告をもとに、セッションの内容をまとめた記事を書きました。
DAISでのセッションに関する記事は、以下の特設サイトにまとめています。
https://www.ap-com.co.jp/data_ai_summit-2023/
オーストラリア国有鉄道ARTCがデータとAIを活用し、運用効率と安全性を向上させる方法
今回は、オーストラリアの国有鉄道であるARTC(Australian Rail Track Corporation)が、データとAIを活用して運用効率、安全性、および顧客理解を向上させる方法について紹介した講演「Event Driven Real-Time Supply Chain Ecosystem Powered by Lakehouse」を取り上げます。この講演は、Data&AI専門の技術系記者であるDeepak Sekar氏と、Australian Railtrack Corporation(ARTC)のリードエンタープライズアーキテクトであるHarsh Mishra氏によって行われました。 データとAIに興味がある技術者や物流・鉄道産業に関心があるビジネスパーソン、データドリブンなビジネス戦略を模索している経営者にとって、興味深い内容となっています。 それでは、早速ARTCがどのようにデータとAIを活用しているのか見ていきましょう。
オーストラリア国有鉄道ARTCのデータ戦略
ARTCは、オーストラリア国内で広範囲にわたる鉄道網を管理しており、その規模は8,500キロメートルにも及びます。また、39のサイトで1,800人以上の従業員を雇用しており、5つの州にまたがっています。 ARTCは、運用効率、安全性、および顧客理解を向上させるために、データとAIを活用することを目指しています。そのために、以下のような取り組みを行っています。
- エンドツーエンドのデータレイヤーの構築
- モダンなイベント駆動型アーキテクチャの実装
- リアルタイムのサプライチェーンエコシステムの構築
これらの取り組みにより、ARTCはデータを効果的に活用し、運用効率や安全性の向上を実現しています。
Lakehouseによるリアルタイムサプライチェーンエコシステム
講演では、Lakehouseという技術を活用したリアルタイムのサプライチェーンエコシステムについても紹介されました。Lakehouseは、データウェアハウスとデータレイクの機能を組み合わせた新しいデータアーキテクチャで、以下のような特徴があります。
- データウェアハウスのパフォーマンスとデータレイクの柔軟性を兼ね備える
- イベント駆動型アーキテクチャにより、リアルタイムでデータを処理・分析
- サプライチェーンエコシステム全体の効率化・最適化を実現
Lakehouseを活用することで、ARTCはリアルタイムでデータを処理・分析し、サプライチェーンエコシステム全体の効率化や最適化を実現しています。
技術能力モデルによる変革の特定
ARTCは、技術能力モデルを作成し、変革が必要な分野を特定しています。これにより、将来のアーキテクチャの意思決定を導くことができます。具体的には、以下のような取り組みが行われています。
- データストレージ、処理、オーケストレーションレイヤーの作成
- システムのレコードからデータを抽出するデカップリングされたアーキテクチャの実装
- リアルタイムのway bridgeキャプチャシステムの導入
ARTCのデータ統合とDatabricks活用の背景
ARTCは、運用効率、安全性、および顧客理解を向上させるために、データとAIを活用する方法を模索していました。そのために、バッチおよびストリームデータの処理、リアルタイムでのデータ集計、コスト最適化されたストレージ、および既存のエンタープライズ統合システムとアプリケーションサービングレイヤーとの統合が可能なプラットフォームが必要でした。 そんな中、ARTCはDatabricksというプラットフォームに出会いました。Databricksは、ARTCが求めていた要件をすべて満たすことができるプラットフォームでした。イベントハブとSpark構造化ストリーミングを使用してストリーミングデータソースを取り込み、データファクトリを通じてバッチソースを利用しています。
まとめ
オーストラリアの国有鉄道ARTCは、データとAIを活用して運用効率、安全性、および顧客理解を向上させることを目指しています。そのために、エンドツーエンドのデータレイヤーとモダンなイベント駆動型アーキテクチャを実装し、リアルタイムのサプライチェーンエコシステムを構築しています。また、Lakehouseという新しいデータアーキテクチャを活用することで、データの効果的な活用が可能となっています。さらに、技術能力モデルを活用し、変革が必要な分野を特定しています。デカップリングされたアーキテクチャの実装により、データストレージ、処理、オーケストレーションレイヤーが効率的に構築されており、リアルタイムのway bridgeキャプチャシステムの導入によって、データ品質の向上やコスト削減が実現されています。これらの取り組みにより、ARTCは運用効率、安全性、および顧客理解の向上を目指しています。
おわりに
現地でのDAISに参加しているメンバーからの報告をもとに、セッションの内容を解説しました。 DAIS期間中では、セッションに関する記事を以下の特設サイトに順次上げていきますので、見ていただけると幸いです。
引き続きどうぞよろしくお願いします!