こんにちは、ACS 事業部の埜下です。
Microsoft 製品のスキルがあることを証明する方法として新たに「Microsoft Applied Skills」という試験が公開されました。 早速受験してみたので、Microsoft Applied Skills の説明と感想をお伝えします。
Microsoft Applied Skills とは
実技ベースの試験
Microsoft Applied Skills は実技ベースの試験となっています。 実際に起こり得るシナリオを題材にしており、課題を解決するためのソリューションを受験者が構築できるか試される設問が出題されます。
今までの認定資格の試験では選択肢形式やドロップダウンリスト形式で出題されていました。 各設問は個別のシナリオであったり、数問に渡って共通のシナリオが提供されたりしていましたが、Microsoft Applied Skills では試験内では1つのシナリオが使われます。 このような出題形式により Microsoft Applied Skills では 「ビジネス目標や目的に沿った重要なプロジェクトを実施するために必要なスキルを有していることを証明できる」と Microsoft は謳っています。
その他、Microsoft Applied Skills の特徴について列挙します。
- 予約不要、すぐに受験可能
- ブラウザ上でテスト環境を操作
- 試験時間は最大 2 時間(途中で終えて採点することも可能です)
- 言語は英語のみ(12月下旬から多言語に対応されていくようです)
- 期間限定で無料(有料になる時期はアナウンスされてないようです)
9 つのスキルが公開済み
現在、以下の 9 つのスキルが公開されています。 Azure だけに留まらず、Microsoft Sentinel や Power Automate のスキルもあります。
- Secure storage for Azure Files and Azure Blob Storage
- Configure secure access to your workloads using Azure networking
- Deploy and configure Azure Monitor
- Deploy containers by using Azure Kubernetes Service
- Implement security through a pipeline using Azure DevOps
- Develop an ASP.NET Core web app that consumes an API
- Secure Azure services and workloads with Microsoft Defender for Cloud regulatory compliance controls
- Configure SIEM security operations using Microsoft Sentinel
- Create and manage automated processes by using Power Automate
公開されているスキル一覧は以下のページから、フィルターの [資格情報の種類] に「適用されたスキル」を選択することで確認できます。
AI 系を中心の 5 つのスキルが公開予定
また、昨今話題の AI 系のシナリオを含め、5 つのスキルが公開予定とのことです。
- Create an intelligent document processing solution with Azure AI Document Intelligence
- Build a natural language processing solution with Azure AI Services
- Build an Azure AI Vision solution with Azure AI services
- Create and manage apps with Power Platform
- Migrate SQL Server workload to Azure SQL
受験準備用の MS Learn ラーニングパスが公開
MCP と同じく受験準備のための MS Learn ラーニングパスが各スキル毎に用意されています。 こちらのラーニングパスを消化しておくことで、ある程度の回答ができるかと思います。
再試験は 72 時間後から可能
合格したスキルの概要ページを見たところ、「評価は、次の日数後に再度受けることができます。」と表示されていました。 画像は受験から 1 日経過したものになりますが、再受験するためには 72 時間空ける必要があるようです。
注意事項として、試験開始のボタンを押すとすぐに試験が始まります。 心の準備はいいですか?みたいな確認はありません。 そのため、「まだその時ではない」と試験をストップしても再受験できるのは早くて 72 時間後ですので気をつけてください。
受験してみた感想
今回は手始めに「Deploy containers by using Azure Kubernetes Service」というスキルを受験してみました。 設問の細かい内容に触れないように感想を述べてみます。
実技ベースは新たな学びがある
AKS に関するスキルに挑戦してみましたが、実際に起こり得るシナリオを想定しているだけあってなかなか尖った設問が多かったように思います。 Kubernetes やコンテナに関する知識も問われつつも Azure サービスの使い方がメインで、機能の存在自体は知ってはいつつも触ったことがないものもありました。
また、実際に Azure Portal を操作したり az コマンドを叩いたりするので、認定試験用の学習では得られない実技ベースならではの学びがありました。
合格することよりも受験自体に価値がある
私はいつも認定試験をオンライン形式で受けています。 あらかじめ試験日程を予約し、当日は部屋を片付けたりモニタを一枚にしたり免許証で個人確認したり、と試験を開始するまでの準備が大変です。 そして受験中はカメラ越しに試験監督から監視されているためよそ見をすることもできません。 これらの制約はオンラインではなくテストセンターで受ける場合も同様でしょうし、その分、不正行為をせずにちゃんと合格基準を満たしていることを証明できるので取得した資格に箔がつくとも言えます。
一方、Microsoft Applied Skills の受験条件は資格試験ほど厳格ではありません。 受験中はマウス操作はキーの入力を記録しているという注意書きはあるものの、恐らく別のブラウザを立ち上げて色々検索することも可能でしょう。 そのため、合格自体に価値がないとまでは言いませんが、合格基準を満たした回答をしていたとしても本当にそのスキルを持っているかまでは確認しづらいのではないでしょうか。
とはいえ、Microsoft Applied Skills 自体に価値がないわけでなく、私個人としては Microsoft Applied Skills で提供されるシナリオ、そしてその設問に解答することに価値があると思います。 Microsoft Applied Skills で提示されたシナリオが実際にあるか確証はありませんが、そこまで的外れなシナリオではなさそうです。 そのシナリオに沿って環境を構築していくので、今回解答するためにおこなった構築作業は今後経験する可能性が高いですし、上述したとおり手を動かして触ったことがない機能もありました。 そのようなことを踏まえて、Microsoft Applied Skills は受験すること自体に価値があると感じました。
今後多くのシナリオが追加されていく予定ですので、無料のうちにぜひ受験してみてください!