はじめに
こんにちは。ACS事業部)土居です。
日本時間 2023/4/19よりKubeCon Euro 2023(18日はPre-event programming)が開催されますが、それに合わせてAzure Kubernetes Service(以降は、AKSと呼ぶ)でもいくつかの発表がありました。
個人的にAKSのLong Term Support (LTS) のサポートが発表された点に注目しています。
詳細は公式から発表されている下記のBlog内容を確認下さい。
AKSのバージョン管理ポリシーのおさらい
LTSの話がでましたので、改めてAKSのバージョン管理ポリシーについて整理しておきます。
詳細は下記の公式ページも合わせてご確認下さい。
Kubernetesでは、他のOSS等と同様にセマンティックバージョニングを採用し、[major].[minor].[patch] のバージョンスキームで管理されます。
2023.4.18時点で、AKSでは以下のKubernetesバージョンを指定することが可能です。AKSのバージョンを特に指定しない場合は既定のバージョンでデプロイされます。
1.26.3
1.26.0
1.25.6 (既定)
1.25.5
1.24.10
1.24.9
AKSでサポートされるKubernetesのバージョンポリシーは以下です。
AKSでリリースされた最新のGAマイナーバージョン(2023.4.18時点だと1.26が該当します。)
2つの以前のマイナーバージョン(2023.4.18時点だと1.25,1.24が該当します。)
サポートされている各マイナーバージョンでは、最大2つの安定性の高いパッチバージョン(修正プログラム)がサポートされます。(2023.4.18時点だと1.25のマイナーバージョンでは1.25.6と1.25.5が該当します。1.24のマイナーバージョンでは1.24.10と1.24.9が該当します。)
サポートされている中で最も古い1.24のマイナーバージョンは、バージョンポリシーに従うと1.27のマイナーバージョンが正式に利用できる状況になってすぐサポート終了となります。つまり、2023年7月がサポート終了予定となります。現在1.24をお使いの方は2023年7月までに1.24からマイナーバージョンをアップグレードする必要があります。
K8s バージョン | アップストリームのリリース | AKS プレビュー | AKS GA | サポート終了 |
---|---|---|---|---|
1.24 | 2022 年 4 月 | 2022 年 5 月 | 2022 年 7 月 | 2023 年 7 月 |
1.25 | 2022 年 8 月 | 2022 年 10 月 | 2022 年 12 月 | 2023 年 12 月 |
1.26 | 2022 年 12 月 | 2023 年 2 月 | 2023 年 4 月 | 2024 年 3 月 |
1.27 | 2023 年 4 月 | 2023 年 5 月 | 2023 年 6 月 | 2024 年 6 月 |
パッチバージョンは主に不具合やセキュリティへの対応など緊急を要することが多く、修正プログラムも高い頻度で更新されます。
AKSの場合、最大2つの安定性の高いパッチバージョン(修正プログラム)をサポートします。現在のマイナーバージョンの次のパッチバージョンが追加されたら、パッチバージョンのアップデートを適用する必要があります。バージョンが非推奨になるか削除されると、クラスターまたはノードのプールを作成できなくなります。
また、Kubernetesコミュニティは、年に3回と非常に高い頻度でのKubernetesの最新のマイナーバージョンのリリースを宣言しています。
AKSもこれに追従する形で、サポートポリシー が定義されています。
現在の使用しているKubernetesのバージョンがサポート対象外になった場合は、30日間の移行猶予期間が与えられます。30日以上経っても移行が完了していない場合、AKSはMicrosoftからサポート対象外となりますので注意して下さい。MicrosoftのAKSチームは、Kubernetesの新バージョンの公開予定や、サポート対象外となるKubernetesバージョンの記述などをGitHub でまとめて公開しています。
一般的に、AKSのバージョンポリシーに合わせるとAKSクラスターのアップグレードは1年に数回行うことになります。クラスターアップグレードは計画的に実行して下さい。
LTSサポート後も定期的なバージョンアップは行っていきたい
LTSはAKSの1.27からサポートされるようで、2023年5月からリリースが行われます。LTSバージョンを利用していると、GA 日から最大で2年間(2025年6月まで??)のMicrosoftからの公式サポートとセキュリティ更新プログラムを適用できます。
これまでも現場の業務に追われ、Kubernetesのサポートライフサイクルの速さに追従できていないお客様を数多く見てきました。 そんなお客様や、これからAKS活用を検討しているがなかなか一歩を踏み切れなかった方にとっては朗報です。
一方で、2年間塩漬けにするというのは技術負債を抱えることにもなり、バージョンアップ時のリスクがあがると共に、クラウドネイティブの恩恵を享受できていないとも考えます。 数ヶ月に一度とは言わないまでも、計画的なバージョンアップを実施していくことを個人的にも推奨していきたいと思います。
おわりに
私達ACS事業部はAzureのクラウドネイティブ技術を軸に内製化のご支援をしております。ご相談等ありましたらぜひご連絡ください。
また、一緒に働いていただける仲間も募集中です!
切磋琢磨しながらスキルを向上できる、エンジニアには良い環境だと思います。ご興味を持っていただけたら嬉しく思います。