
はじめに
皆さんこんにちは。エーピーコミュニケーションズ ACS事業部 亀崎です。 私は2026年3月23日〜26日に開催されているKubeCon + CloudNativeCon 2026 Europeに参加のため、 現在アムステルダムに来ております。今日3月25日はDay 2の様子をお送りします。
少しでも皆さんに生の情報をお届けすべく、時間のある限り本ブログで紹介したいと思います。
私のKubeCon参加のメインテーマでもあるBackstageのこれまでと今後についてです。
The State of Backstage in 2026
Backstageは現在
- 4k以上のAdopter
- 255以上のPluginが存在し、BackstageのCommunity Pluginリポジトリだけでも190以上存在する
- 32.9k のGitHub Starがついている
というCNCFの中のプロジェクトでも有数の活発なプロジェクトとなっています。
そんなBackstageに関するリリース情報(今回のテーマ)は以下の点です。
- Frontend System
- MCP & CLI
- Backstage & AI
- Roadmap
それでは順番に見ていきましょう。
New Frontend SystemがまもなくGAに
2023年から続けられてきた New Backend System 、New Frontend Systemの実装と移行がついにゴールを迎えつつあります。
このブログで最初にその情報に触れたのがKubeCon NA 2023のときでした。
そして、つい先日リリースされた Backstage v1.49 でNew Frontend SystemがRCとなりました。 このまま大きな問題がなければ次のリリースなどでGAとなり、年内にはOld Frontend Systemがリタイアとなるそうです。
導入作業が面倒だと言われていましたが、これでだいぶ簡単にはなってきます。 New Frontend SystemではPage Layoutの変更も行われており、タイトル部分の変更やSub Page機能といったものが提供されています。
加えて、New frontend systemへのMigrationを支援するskillsも提供されています。
npx skills add https://backstage.io と実行することで追加されますのでぜひご利用ください。
こちらは付加情報ですが、数日前のBackstageConでは、さらにその先も動き出していることが紹介されています。 詳細は以下をご覧ください。
MCP & CLI
MCP(Model Context Protocol)とCLIのテーマは3つ、「Authentication」「Actions Registry」、「Modularization」です。
まずCLI機能に関するAuthorization機能の拡張です。これまでCLI機能はStatic Tokenを使った実装となっていましたが、 Client Identity Metadata Documents(CIMD)という仕組みで CLIにユーザーアカウントへのログインをサポートする予定です。
Static TokenのときにはPermission機能が無効になるという制約がありましたが、 ログインのサポートによりユーザートークンを利用するため、Permissionにも対応することができるようになります。 また、トークンは1時間で無効となるため、安全性も高まります。 もちろんリフレッシュトークンのサポートもされるため、ユーザー自身が何度もログインしなければならない、 ということはなく、一定期間経過したら自動的にトークンを更新します。
また、Actions Registryという機能が用意されました。この機能はBackstageをMCP Serverとして利用する際にも 利用されるものですが、Backstage上のAPIをCLI等に公開する機能です。 これにより従来Web上でしかできなかったような作業がCLIからも実行できるようになります。 現在は「Catalog機能のAction(API)」と「Scaffolderに関するAction(API))が公開されています。 Actions Registryには、それぞれのPlugin側で実装することができますので、カスタムPluginを作成し、 その機能をCLIで利用することができるようになります。
さらに、モジュラー型のCLIコードへの移行です。 従来CLIはモノリシックなコードで実現されていました。これをモジュラー化します。 これにより、CLIとしての機能をカスタマイズすることができるようになります。 これまでのBackstageのBackend / Frontend で取り入れられていたPluginのような仕組みと考えていただければよいと思います。
Backstge & AI
昨今のAIの浸透に伴い、Backstageでも対応が進められています。 その基本方針は「複数のSurfaces(インターフェース)」に対して、同じコンテキストを提供するというものです。 複数のSurfaceとは「Web」「CLI」「AI」の3種類です。従来は「Web」がその中心で、CLIはあまり機能がありませんでした。 この部分を拡張しようというものです。 ご存知の通りAIはコンテキスト情報の提供が重要になります。このため、 「Web」で提供していた情報(同じコンテキスト)をCLIやAIにも提供するといった方針になったようです。
さらにその「コンテキスト」の充実も図られます。従来のカタログ情報は、UIにデータを提供していたこともあり、 それぞれの属性が何を意味するものなのかといった情報が十分ではありませんでした。 (データベースからデータだけを取り出し、スキーマ情報は渡さない状態だったといったイメージが近いと思います)
AIにデータを提供する際は、それぞれの項目が何を意味するのか、(つまりどういった情報を入手できるのか)を 伝えることが重要になります。
ご存知の通り、Backstageのカタログ情報もカスタマイズすることができますが、これまでの機能に加え 属性の意味等も一緒に定義できるようなAPIを追加していくそうです。
Roadmap
こうした大きな機能の実装方針が示されるとともに、ロードマップも提示されました。
- カタログモデルの拡張
- カタログの新しい種類の追加(kind: AIContext )
- Backstage UIの推進継続
- リリースプロセスの改善
- Old frontend systemのRetire
カタログの新しい種類(kind: AIContext)については以下のチケットの内容です。 AIにまつわる情報もカタログ化しようとするもののようです。 github.com
Backstage UIは最近ずっと取り組まれてきたもので、Reactを直接利用するのではなく一段抽象化レイヤを加えて エコシステムとして、React等のUIフレームワークのアップデートをしやすくするための取り組みです。 (あわせてUIの標準化も進められます)
リリースプロセスの改善は、現在月一回のマイナーバージョンを行っているBackstageですが、 それ自体がバージョン互換を維持する点で課題もある状態です。このため、安定性の重視と個別Pluginのアップデートの容易さを 実現する方式に見直しをかけていくとのことでした。
個人の見解
先日のBackstageConの内容ご紹介でも触れたものがまさに今回のThe State of Backstage in 2026でも説明されました。
Backstageに求められるのはWeb UIだけではなく、AIに対する情報の提供です。 Backstageには、システムリソースのオーナーシップやシステム間の依存関係、関連ドキュメントなど、 コード・ドキュメント・関連Runtime Resourceといったものを結びつけてカタログという形で管理しているという状況にあります。 AIにとってこうした関連付けられた情報というのは、他にはない重要な情報となります。 さらにAIコンテキストのための情報といった新たな分野のカタログも今後必要になってくるでしょう。 こうした情報を集約する機能はBackstageが当初から持っていた特徴ですが、これからはその重要度が一層高まると思います。
加えて、Actions Registryがとても重要です。Pluginに関連する情報へのアクセスや情報集約機能を実装することで、 Web・CLI・AIといったユーザーインターフェースに簡単に情報提供できるようになります。
認証やRBAC、アクセスエンドポイントなどの仕組みはBackstageで用意するため、 開発者に求められるのはカスタムPluginで実現する機能(=ビジネスロジック)にフォーカスすることです。
これは新しい時代のフレームワークとなりうるのでは、と私は感じました。
今回ご紹介している内容はまだこれから開発が進む部分も多くあります。 しかしBackstage自体の開発がAI活用が進んでいることから、これまで以上に加速することでしょう。 あとは大きく広がったエコシステムの中でどう共存しながら成長していくかがポイントです。
Backstageの今後の動向から目が離せません。
おまけ
Day2 のセッション後、『Documentary Premiere: Backstage: From Spreadsheet to Standard』と題したビデオが公開されました。
この中でなぜSpotifyがBackstageを開発し、OSSとして公開するに至ったのか、どういった機能を目指したのかも紹介されています。
これを機会に、ぜひご覧になってください。