
はじめに
皆さんこんにちは。エーピーコミュニケーションズ ACS事業部 亀崎です。 私は2026年3月23日〜26日に開催されているKubeCon + CloudNativeCon 2026 Europeに参加のため、 現在アムステルダムに来ております。
少しでも皆さんに生の情報をお届けすべく、時間のある限り本ブログで紹介したいと思います。
Dapr & Dapr Agent
Dapr AgentがDay 1 のKeynote Sesionでも取り上げられましたが、メンテナトラックを含めると3つのセッションがありました。 今回このうちの2つに参加してまいりました。個人的にDapr推しでもありますので、これらについてご紹介したいと思います。
Dapr とは
Daprは(Microservice)分散アプリケーション環境&フレームワークです。 Microserviceでシステムを構成する際、ステート管理やPubSubの利用、Secretの参照などさまざまな外部サービスとの連携を必要とします。 Daprはこれらの連携部分を抽象化し、連携先がどこであっても同じような実装方法でそれらを利用できるようになります。

本来アプリケーション開発者はビジネスロジックの実装に一番の時間をかける必要があり、周辺サービスの連携をどう操作すればよいか、といった内容は 本来時間をあまりかけずに済ませたい認知負荷です。Daprがこの部分を抽象化してくれるおかげで、認知負荷が低減されます。 こうした外部サービスの連携部分だけではなくWorkflow処理やActor、Jobなどアプリケーションを実装する際にとても役に立つフレームワーク、 実行Runtimeが存在しますので、とても便利になるはず、と私は考えています。
Dapr Agent
AI Agentが昨今の話題の中心となるなか、Daprでは Dapr AgentというAgentの実装を抽象化してくれるフレームワークを提供しています。
Agent FrameworkはLangChainやMicrosoft Agent Frameworkなども存在し、それらをご利用になられている方も多いと思います。 Dapr Agentも同様のものなのですが、利点はDaprの一部であるという点です。 内容にもよりますが、Agentもひとつのアプリケーションです。リモートで実行するAgentとして構成する場合、PubSubなどによるトリガ、従来型アプリケーションとの連携やWorkflow処理の実行など、Agentと従来型アプリケーションの組み合わせが必要になってくるケースが多いと思います。
Daprを利用することで、Microserviceの分散システムの一部としてAgentを構成することが容易になります。
この点を私は優れた利点と考え、Dapr推しとなっています。
AI Agentを含むObservability
このようなAI Agentアプリケーションを実装する場合、Observabilityを実現するのは意外と難しいものです。 その理由にはいくつかのことが挙げられます。
- 従来のトレーシングはRequest/Responseの線形な呼び出し関係を前提としています
- Agent、Tools、Model callsはコンテキスト情報がしばしば途切れます。
- AgentはLLMの判断によって実行経路がその都度変わる、非決定的な動きとなります
- 実行スパンが多段になりやすいです(AgentやModel、Tool、Skillなどの呼び出しを複数繰り返すことも多々起こり得ます)
- 主要なコンテキストがランタイムの外にも存在します(Promptや推論)
これらをカバーすることでObservabilityを実現できますが、独自で用意するのはかなり大変です。 DaprではWorkflowなどの機能にはすでにObservabilityの機能が用意されています。それは単純なRequest/Responseの呼び出しだけではなく イベント・ドリブンなシステムでも対応しています。これにAgent関連のフレームワークで必要なトレース情報を埋め込むことで、 非同期に実行されるアプリケーションであったとしても、ほぼすべてをカバーできるようになります。
ただし、SkillsのScriptなどは別途トレース出力を埋め込む必要があります。 適切に埋め込むことで、トレーシングがend to endで取得・表示することもできるようになります。


このようにAI Agentの実装においても、Observabilityを含む多くの機能が抽象化されており、簡単に実現できることがDaprの利点となっています。
これからのシステムにはぜひDaprのご利用をご検討いただけると、推している私としては嬉しい限りです。
おまけ
実は講演者の1人のマウリシオさんは知り合いで、初日に一緒に写真をとっていただきました。 こちらがその写真です。
