🌟 プロジェクトの目的
葛飾北斎の名作「神奈川沖浪裏」を、動画生成AI「Sora」を使ってアニメーション化することに挑戦しました。日本を代表するこの版画に、現代の技術でどこまで新しい命を吹き込めるのかを探ります。
🎨 静止画から始める再現:Soraによる「神奈川沖浪裏」
まずは原作の構図や雰囲気を理解するため、Soraを使って「神奈川沖浪裏」を再現した静止画を作成しました。生成AIがどのように浮世絵を捉えるかを確認し、以降の動画化に向けたイメージの基盤としています。

🎨 版画を動画に変える:実写から版画への逆転発想
最初に試みたのは、版画そのものを直接動かす方法でした。しかし、生成AIにとって「版画風の波をどう動かすか」は難題で、思ったようなアニメーションは得られませんでした。
そこで方針を転換し、まず実写風の大波を生成し、それを後から版画風にRemixするというアプローチを採用しました。これにより、波の動きにリアルさと迫力を持たせつつ、最終的な見た目は浮世絵らしい質感を目指すことができます。
📉 横構図での制作(PC向け)
1. 実写波のみの生成
まずは版画に寄せず、実写の波と富士山を描いた動画を作成します。
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葛飾北斎の神奈川沖浪裏をイメージした大波を実写で描いてください。
2. Remixで小舟と版画調を追加(完成版)
次に、波に飲まれそうな小舟と漁師を加えるプロンプトでRemix。Soraの解釈により、実写と版画の融合表現が誕生しました。これが今回の完成版として最も高いクオリティを持っています。
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実写映像で、葛飾北斎の「神奈川沖浪裏」をイメージした大波を描写してください。手前に大波に飲まれそうな3隻の小さな木造漁船があり、船には数人の漁師がしがみついています。背景には雪をかぶった富士山が見えています。波のディテールや飛沫が精緻に描かれ、ドラマチックで迫力のある雰囲気です。超高解像度で、カメラは正面から構図全体を捉えています。
📱 縦構図での制作(ショート動画向け)
スマートフォンやSNS投稿向けに、縦構図で同様の制作を行いました。船の数や構図バランスを調整し、いくつかのバリエーションを試作。その中で最も気に入っているのが、夕日の波頭に照らされるバージョンです。
実写寄りと版画寄りのRemix比較
実写寄り:波の質感がリアルでダイナミック
プロンプトでは縦型構図向けに、船を3隻から2隻に減らしました。
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実写映像で、葛飾北斎の「神奈川沖浪裏」をイメージした大波を描写してください。手前に大波に飲まれそうな2隻の小さな底が浅い日本在来の木造船があり、船には数人の漁師がしがみついています。背景には雪をかぶった富士山が見えています。波のディテールや飛沫が精緻に描かれ、ドラマチックで迫力のある雰囲気です。超高解像度で、カメラは正面から構図全体を捉えています。
版画寄り:浮世絵の持つ平面性や線の強調が際立つ
プロンプトには実写と浮世絵の質感を融合したと追記しています。
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実写と浮世絵の質感を融合した、葛飾北斎の「神奈川沖浪裏」をイメージした大波を描写してください。手前に大波に飲まれそうな2隻の小さな底が浅い日本在来の木造船があり、船には数人の漁師がしがみついています。背景には雪をかぶった富士山が見えています。波のディテールや飛沫が精緻に描かれ、ドラマチックで迫力のある雰囲気です。超高解像度で、カメラは正面から構図全体を捉えています。
🎨 おまけ:柴犬が波を越える!ユーモアRemix
完成後、少し遊び心を加えてみました。北斎の波の中を、水上バイクに乗る柴犬が駆け抜けるというユニークな構成です。
構図としての破綻はなく、冗談として成立する仕上がりになりました。
Remix時のプロンプトには、小舟の代わりに波の中を、水上バイクに乗った柴犬が通り抜けます。と記載しています。
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実写映像で、葛飾北斎の「神奈川沖浪裏」をイメージした大波を描写してください。波の中を、水上バイクに乗った柴犬が通り抜けます。背景には雪をかぶった富士山が見えています。波のディテールや飛沫が精緻に描かれ、ドラマチックで迫力のある雰囲気です。超高解像度で、カメラは正面から構図全体を捉えています。
🖊️ 気づきと今後の展望
生成AIによって名画を動かす試みによって、原作の構図や色彩の完成度の高さを再認識しました。一部を変えるだけでバランスが崩れ、「完成されたものを動かす」難しさを痛感しました。
それでも、現代の技術と伝統的なモチーフを融合させる試みは、新しい表現の可能性を感じさせるものでした。今後は他の浮世絵や名画を題材に、より洗練された構成とストーリー性を意識して挑戦していきたいと思います。
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