はじめに
こんにちは。KubeCon + CloudNativeCon 2025 EU 参加でロンドン滞在中のACS事業部 亀崎です。
今日個人的に一番興味を持っている分野のセッション(メインテナートラック)がありましたのでご紹介します。 「Dapr in 2025: Durable Execution for AgenticAI Systems and Becoming the Backbone of App Platforms」
Daprとは
ご存知の方も多いかと思いますが、Daprは State StoreやPubsubといったインフラやSecret、Workflow管理などをAPIして定義し、ベンダー依存のない、アプリケーションを実装することを可能にするアプリケーションランタイムです。オンプレミス環境でもKubernetes環境でも動かすことができるとともに、アプリケーション開発者はその違いを意識する必要はありません。
2025年現在、サポートしている抽象化された機能は以下のように多数あります。
Dapr Agentsとは
昨今Agentic AIという言葉をよく聞くと思います。Generative AIを開発している企業から様々なフレームワークなども公開されているのを日頃目にする機会も多いと思います。そうしたAIベンダーが開発しているSDKは、それぞれ独自にワークフローやオーケストレーション機能など周辺の機能を開発していることが多いと思います。
それに対してDapr Agentsはワークフローやオーケストレーション機能はもともとDaprに存在しているため、AI機能部分だけをDaprに取り込んでAgent機能を提供しようとするものになります。
もともとはFlokiという名称で開発されていたものが、Dapr Agentsとして一連の抽象化機能に追加された形になり、2025年1月に発表されていました。
何が興味深いのか?
今回のイベントでこの機能を紹介するということで参加前から非常に楽しみにしていました。
というのも、実は2024年年末くらいから1月にかけて「Agentic AIってできているけど、それってDaprといろいろ機能かぶるな。Daprで実現できたら、もともと分散アプリケーション用になっているDaprだしいろいろ拡張もできるようになるのでは」などと考えていました。 そうしたタイミングで偶然、Flokiを紹介したビデオを発見し「あ、まさにこれだ。同じこと考えている人いたんだな」と、自分の中で勝手に共感していました。
そしてそんなタイミングでDapr Agentsとして開発していくことが発表になり、今回のメインテナートラックでの紹介やデモにつながったというわけです。
自分の中で「これいいよね」と思ったものがどんどん進んでいくのは、なにかとても楽しいし興味深いなというわけです。
もちろん技術的にも、もともとワークフローはDaprでも開発が進んでいた機能ですし、それ以外の外部連携機能部分もDaprが得意としていた分野です。ある意味すでに実績のある機能のなかに、AIが入ってくるので進歩も早そうだと感じています。 また、通常のアプリケーションもAI関連のアプリケーションも同じDaprという土俵の上で動くのであれば、開発するコード等も類似のものになりやすく、開発者の認知負荷も低減できることが期待できます。
Daprという開発者向けプラットフォームエンジニアリングツールが、AI分野でも本領発揮をしそうだというのが楽しみな部分です。
まとめ
個々数年のKubeConではAIに関する発表が多くなりましたが、理解しなければならないことが増える一方なのは開発者としても認知負荷が高まり大変な部分にもなります。 認知負荷低減という意味でもDaprに期待できる部分は多々あると思いますので、引き続きこのプロジェクトをウォッチしていきたいと思います。