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【OCI】後発クラウドの中でOCIが選ばれる理由を整理してみた

目次

はじめに

こんにちは、クラウド事業部の塚越です。

会社の推奨資格であるOracle Cloud Infrastructure(OCI)を取得したのですが、勉強を進める中で、AWSやAzureと比べたときに「料金が安い」「設計がシンプル」といった、いかにも「後発クラウド」らしい特徴が多いと感じました。

今までAWSやAzureは勉強したことがあったため、先発クラウドとOCIの違いは見えてきたのですが、「他の後発クラウドと比べたときにOCIはどんな立ち位置なのか?」が気になり、少し調べて整理してみることにしました。

後発クラウドとは?

現在のクラウド業界では、AWS、Microsoft Azure、Google Cloud Platform(GCP)の3社が世界的なシェアを占めています。これらはそれぞれ2000年代後半からサービスを展開しており、「先発クラウド」と呼ばれる存在です。

それに対して、2010年代以降に登場し、後から市場に参入してきたサービスが「後発クラウド」と位置づけられます。代表的な例としては、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)、Alibaba Cloud、さくらのクラウドなどが挙げられます。

後発クラウドは、先発の成功事例や課題を参考にしながら、独自の戦略や強みを打ち出しているのが特徴です。OCIもその一つであり、特定のユーザー層やユースケースに向けた工夫が多く見られます。

OCIの特徴:エンタープライズ指向の高性能クラウド

Oracle Cloud Infrastructure(OCI)は、もともとオンプレミスでOracle製品を利用していた企業が、スムーズにクラウド移行できるように設計されたクラウドです。

特徴的なのは、高性能なI/Oやネットワークインフラ、Oracle DBとの統合性の高さ、そして予測しやすい料金体系です。また、他のクラウドに比べて構成がシンプルで、設計者の負担も少ない点が評価されています。

大規模な業務システムのクラウド化、基幹系のデータベース移行、あるいは複雑なライセンス管理の簡素化といったユースケースにおいて、OCIは「実務目線で使いやすい」クラウドといえるでしょう。

Oracle Cloud Infrastructureがお客様に選ばれる理由 | Oracle 日本

Alibaba Cloudの特徴:アジア発グローバル展開クラウド

Alibaba Cloud(阿里雲)は、中国のAlibabaグループが提供するクラウドサービスで、アジア市場を中心に急速に成長しています。eコマース、ビッグデータ処理、AIなどの領域ではグループ内の膨大な実務データをもとにした豊富な実績があります。

また、中国市場向けの展開においては特に優位性があり、現地で必要となるICP申請などの複雑な手続きを含む支援も充実しています。これにより、中国進出を検討している企業にとっては、実務的な安心感のある選択肢となっています。

セキュリティ水準も高く、信頼性のあるクラウドではありますが、この点ではAWSなどと大きな差があるとは言えません。

ただし、「中国のクラウド=不安」といった印象を持たれることもありますが、実際には本社はシンガポールにあり、日本リージョンは日本法に基づいて日本法人が運用しています。

グローバル展開を進めたい、特に中国・アジア市場に関心がある企業にとって、機能面・支援面の両方から有力な選択肢となるクラウドです。

Alibaba Cloud(アリババクラウド) | 法人向け | ソフトバンク

さくらのクラウドの特徴:国内完結・わかりやすさ重視

さくらのクラウドは、日本のさくらインターネットが提供する純国産クラウドサービスです。

最大の特徴は、日本国内に限定した運用と、料金体系の分かりやすさです。サーバー台数や時間単位で料金が明快に決まり、データ転送料も基本的に無料となっています。

GUIも直感的で操作しやすく、中小企業や地方のSIer、官公庁・教育機関といった、「安心して使える国内クラウド」を求める層に強く支持されています。

グローバル展開や高度な機械学習サービスは提供していないため、用途が比較的限定される点は注意が必要です。

選ぶ理由 | さくらのクラウド

まとめ:後発クラウドの中でOCIが持つ独自の立ち位置

後発クラウドと呼ばれるサービスは、単に「シェアが低い」や「登場が遅かった」だけではなく、それぞれが明確な戦略と対象ユーザーを持ち、先発クラウドとは異なる価値を提供していることがわかります。

Alibaba Cloudはグローバル志向とAI分野に強みを持ち、さくらのクラウドは日本国内での安心・明瞭なサービスに特化しています。

その中でOCIは、エンタープライズ向けの実務ニーズを満たすクラウドとして、他と一線を画しています。特に、Oracle製品との親和性・高性能なインフラ・シンプルな設計思想といった特徴は、基幹システムの移行や企業内利用において大きな強みと言えます。

「後発クラウド=廉価版」ではなく、それぞれのクラウドに適した“使いどころ”があるという視点が、今後のクラウド選定には欠かせないものになりそうです。