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『新卒に講師なんて務まるのか?』と萎縮した私が、ハッカソン現場で学んだ5つのプロ意識

目次

1. はじめに

こんにちは!2026年に新卒として入社しました、ACS事業部の重延(しげのぶ)と申します。

先日開催された「Microsoft Agentic AI Hackathon Osaka 〜 1日でオントロジー & AI エージェントを Fabric × Foundry で構築体験 〜」にて、初めて講師を務めました。

参加前は、「新卒の自分に講師が務まるのか」「技術的な質問に答えられなかったらどうしよう」と不安を感じていました。実際、当日は技術力への気後れや、参加者への声かけの難しさなど、さまざまな壁に直面しました。

しかし、イベントを終えて強く感じたのは、講師に必要なのは「すべての質問に即答できる技術力」だけではないということです。

場の雰囲気をつくり、参加者の状態を把握し、分からないことに誠実に向き合う姿勢も、講師にとって重要な役割でした。

本記事では、初めて講師を務めた経験から、これからイベントの講師やメンターを担当する若手・新卒エンジニアの方に向けて、5つのノウハウを紹介します。

イベント概要

単なる生成AIの利用にとどまらず、複雑な業務文脈を読み解く「オントロジー」の構築から、複数のAIが連携する「自律実行エージェント」の実装までを1日で体験するという非常に先進的かつ熱量の高いイベントでした。

私自身も裏側の環境構築から当日の運営・技術サポートまで深く関わらせていただきました。

講師として参加している様子

2. 初講師のリアル:事前準備から当日の壁まで

事前準備:「分かったつもり」になっていた自分

当日に向けて、実施コンテンツのドライランを行い、機能や全体の進め方を一通り把握しました。

また、上司との面談で期待値をすり合わせ、「技術的な質問に即答することよりも、参加者が安心して取り組める場をつくることが大切だ」と認識を共有しました。これにより、当日に自分が何を優先すべきかを明確にできました。

その他、過去事例から想定される質問なども整理し、一通りの流れを把握したつもりでいました。

こうした作業を経て、上司からの「大丈夫?困っていない?」という確認に対しても、迷わず「大丈夫です!」と答えていたのです。

しかし、今振り返ると、当時の私は「何が分かっていないのか」すら分かっていなかったのだと思います。

当時は「コンテンツの流れ」さえ理解していれば準備万端だと思い込んでいましたが、「参加者層の把握」や「事後フォローに繋げるためのアクション」といった、当日の現場の立ち回りへの理解が不足していました。

当日直面した「技術力への気後れ」と焦り

いよいよイベントが始まり、社会人として初めて、参加者の方々と名刺交換をしました。 すると、AI関連部署の方やMicrosoft MVPの方など、経験も知識も豊富な方々ばかり。「自分が提供できる技術なんてあるのだろうか」と一気に萎縮してしまいました。

「間違ったことは言えない」という恐怖から足がすくみ、はじめに講師がすべきアイスブレイクやファシリテーションに踏み出せず、自分で調べれば解決できる質問すら先輩に頼ってしまう始末でした。

イベント中も目の前の「コンテンツ消化」に必死になるあまり、参加者のフォローや雑談などの交流まで全く頭が回りませんでした。

チーム内の交流も少なく、Microsoftの運営の方から「ファシリテーションをもっと頑張って」と声をかけていただきました。 しかし、具体的にどう動けばよいのか分からず、後ろで待機していた先輩からも「大丈夫そう?」と心配される状態でした。

その場にいるだけで精一杯だった、というのが正直なところです。

3. 現場での意識の切り替え

コンテンツがある程度進行してからは慣れも生まれ、少しだけ冷静になることができました。 「このままではいけない」と切り替え、まずは自分ができることに注力しようと割り切りました。

  • できる範囲で全力サポート: 同じ卓の先輩社員が多くの参加者から相談を受けていたため、自分ひとりで対応する場面も多々ありました。そうした状況によって腹を括ることができ、分かる範囲のサポートは自分で対応し、分からないことは「確認するので少々お待ちください。」とお時間を頂き、調べてから回答するように切り替えました。それでも分からない場合や、技術的な問題は全て先輩社員にお任せし、一緒にメモを取るようにしました。

  • 自分から声をかける: 作業が止まっている方には「困りごとはないですか?」、順調そうな方には「いい感じですね!」と声をかけ、少しずつ会話のきっかけを作りました。最初は緊張しましたが、少しずつ会話のきっかけをつくることで、参加者の方々から質問していただく機会も増えていきました。

  • 別卓の先輩へSOSを出す: 自分ひとりでは対応が難しい場面に備え、隣の卓の先輩に「何かあったときは助けてほしいです」と事前に相談しました。「もっと早く言ってくれても大丈夫だったよ」と言っていただけて、とても安心しました。実際に支援をお願いする場面はありませんでしたが、相談先があると分かったことで、心理的な余裕が生まれました。

こうした行動がほんの一部でも功を奏したのか、午前中は発言が少なかったものの、徐々にチーム内の交流も増え、実際の構築作業に入ると積極的な意見交流が起きるチームになっていました。 最終的には、チームの成果物が評価され、参加者の皆様が前に出て発表することになりました。

4. 振り返りで見えた「講師の役割」

イベントが終わった後、先輩からフィードバックをいただきました。この言葉をきっかけに、当日の自分の行動を振り返り、良かった点や今後の課題を整理できました。

「良かったよ!技術的な部分は仕方ない。まずは接客業として、相手の顔を見て、笑顔ではきはきと進行できていたよ!」

当日は「上手く回答できなかった」「十分なファシリテーションができなかった」と反省ばかりが頭を占めていましたが、この言葉を頂けたことで自分の行動を客観的に捉え直すことができました。

事後振り返りで整理できた点

改めて振り返ると、今回のイベントにおいて良かった点も明確になりました。

  • 「期待値のすり合わせ」が機能した: 事前に「新卒の自分に求められる第一の役割は、技術の即答ではなく、笑顔やハッキリした発声での丁寧な進行(=接客業としての姿勢)である」という意識合わせができていたため、パニックにならず優先事項に注力し続けることができました。
  • 初期の失敗から、その場ですぐに改善できた: 最初に「リログすれば治る簡単な不具合」という単純なトラブルで焦って先輩を呼んでしまった失敗から反省し、「まずはやってみる」「簡単に確認・調べてから回答する」という自分なりの一次対応をその場で構築できるようになりました。
  • 「最終的にはその場の臨機応変さ」が必要だと体感した: 事前準備やコンテンツの確認を重ねても、参加者の課題や関心を把握し、イベント後のフォローにつなげるなど、当日の状況に応じた対応が必要でした。事前にすべてを想定するのは難しく、その場の様子を見ながら判断することも大切だと実感しました。

講師という役割の再定義

講師にとって重要なのは、「すべての質問に完璧に即答すること」だけではありません。もちろん、答えられるに越したことはありませんが、プロとしての姿勢を保ちながら場を明るく進行し、参加者の議論を引き出す「ファシリテーター」としての役割も大切だと感じました。

この振り返りがあったからこそ、当日の失敗や葛藤を、単なる反省で終わらせず、次に生かせる学びとして整理できました。

もちろん、当日の動きには多くの反省点も残りました。ここからは、今回の経験を振り返り、次に生かしたいことを「5つのノウハウ」として紹介します。

5. 過去の自分に捧げる「5つのノウハウ」

①【準備編】期待値のすり合わせとロープレによって、当日の動きを明確にする

  • 経験: 上司から「大丈夫?」と聞かれ「大丈夫です!」と答えていたが、当日のイメージができていなかった。
  • 学び: 期待値をすり合わせた上で、実際の場面を想定したロールプレイを行うと、当日の動きを具体化できる。

②【危機管理編】SOSは「詰まった瞬間」ではなく「問題になりそうな兆候」で上げる

  • 経験: 相談のタイミングが遅くなり、対応が後手に回ってしまった
  • 学び: 周りの先輩は「助けていいものか悩んでいる」ことがある。予測が立った時点で、早めに周囲へ相談することが大切である。

③【ファシリテーション編】講師の仕事は「コンテンツの消化」ではなく「場の空気づくり」

  • 経験: コンテンツを進めることに注力し、アイスブレイクや雑談が後回しになってしまった。結果皆さんに進行をお任せする形となり、スタートが遅れてしまった。
  • 学び: 広く浅い技術知識を「雑談のきっかけ」として使い、質問しやすい雰囲気を作ること。最初のアイスブレイクから議論を進めることこそが講師の大切な役割である。

④【マインド編】「完璧な技術回答」よりも「プロとしての姿勢と一次対応」

  • 経験: 経験や技術のある方々に萎縮してしまい、対等なコミュニケーションが取れなかった。
  • 学び: 笑顔やハッキリした発声など「プロとしての基本姿勢」を崩さないこと。知らないことは恥ではない。「まずは調べて一緒に試す」「教えてもらう姿勢で深掘りする」ことで、有意義な技術交流ができる。

⑤【ビジネス編】イベント単体で終わらせない「周辺情報と事後導線」の把握

  • 経験: 当日の進行だけで頭がいっぱいになり、参加者の課題など次に繋がる情報を聞き出すことが不十分だった。
  • 学び: イベントの成功は、当日を終えることだけではない。参加者の課題や関心を把握し、イベント後の情報提供や支援につなげることも大切である。

6. おわりに

初めて講師を務めたことで、事前準備だけでは分からないことがたくさんあると実感しました。一方で、上司と期待値をすり合わせていたことで、自分が何を優先すべきか考えながら動くこともできました。

今回の経験から得たノウハウは、講師を務めるときだけでなく、初めての役割に挑戦するときや、チームで仕事を進めるときにも生かせると感じています。

私自身も、今回の学びを忘れず、分からないことは周囲に相談しながら、日々の仕事や新しい挑戦に生かしていきたいです。

この記事が、これから新しいことに挑戦する方の参考になれば幸いです。

ACS 事業部のご紹介

私達 ACS 事業部はクラウドネイティブ技術、Azure AI サービス、Platform Engineering などを活用し、攻めの DX 成功に向けた開発者体験の向上・内製化のご支援をしております。 今回のブログで触れている、Microsoft Foundryの導入支援・活用トレーニングといったものも実施しております。

www.ap-com.co.jp

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本記事の投稿者: 重延 宙