こんにちは、ACS 事業部の埜下です。
先日、HashiCorp が提供するマネージドシークレット管理サービスの HCP Vault Secrets がサポート終了するというアナウンスがありました。
影響範囲
HashiCorp Cloud Platform のサービスを利用するには 2 通りの契約プランがあります。
- 従量課金 (Pay-as-You-Go)
- HashiCorp Flex*1
今回の HCP Vault Secrets のサポート終了については従量課金 (Pay-as-You-Go) プランのみ対象となっています。 しかし、最終的には Flex プランでも HCP Vault Secrets を利用できなくなることは想定されるため、早めに移行先を検討しておくのがよいでしょう。
タイムライン
現時点で公開されているタイムラインは次のとおりです。
- 2025 年 6 月 30 日:新規での利用開始不可
- 2025 年 8 月 27 日:従量課金 (Pay-as-You-Go) プランでの利用不可
最初にアナウンスされたのは 2025 年 6 月 19 日に投稿された HashiCorp Help Center の記事でした。 アナウンスされてから従量課金でのサポート終了が 2 ヶ月余りなので、かなり急なサポート終了という印象を受けます。 従量課金で HCP Vault Secrets を利用されている方は影響がないように移行を進めてください。
移行先
継続して HashiCorp Vault でシークレット管理したい場合、移行先として次の選択肢があります。
- HCP Vault Dedicated
- Vault Community Edition
HCP Vault Dedicated は HashiCorp Cloud Platform 上でマネージド Vault クラスタを構築するサービスです。 Vault Enterprise と同等の機能を利用できますが、HCP Vault Secrets と比べると料金は高くなってしまいます。
Vault Community Edition は無償で利用可能である一方、Vault クラスタの運用管理が必要となり、サポートもコミュニティベースに限定されるため、HCP Vault Dedicated と比較して運用面で劣ります。
どちらが移行先に適しているかは、各組織の状況に応じて検討してください。
まとめ
HCP Vault Secrets は HCP (HashiCorp Cloud Platform) 上でシークレット管理ができる Vault シリーズの一つですが、サポート終了のアナウンスがありました。
HashiCorp Vault はシークレット管理以外にも証明書管理やデータ暗号化といった機能もあります。 HCP Vault Secrets はシークレット管理に特化したサービスであるため低コストで始められて、クラスタの構築も必要ないため手軽に運用できる点が特徴でした。
また、Vault Secrets Operator という Kubernetes 上で Vault と連携するためのオペレーターも HCP Vault Secrets に対応していました。 昨年開催された HashiConf でも大々的に新機能の紹介もされており、期待しているサービスでもあったため今回のサポート終了のアナウンスはとても残念です。
HCP Vault Secrets を利用されている方は影響を受けないように移行を検討してください。
*1:Flex プランは今後 Flex Multiyear というプランに切り替わります