Greeting from London!! ACS事業部の亀崎です。私は今ロンドンにいます。
2025年4月1日〜4日の4日間、KubeCon + CloudNative Con 2025 Europeがロンドンにて開催されています。 4月1日の今日は、Co-located Eventとして様々なOSSプロジェクトのカンファレンスが開催されました。 今日はそのなかの1つ、BackstageCON 2025をここロンドンからご紹介します。
Backstageは5周年
まず最初に、BackstageがOSSプロジェクトになって5周年を迎えました。最初に公開されたのが2020年の3月、それから5年で大きなプロジェクトに成長しています。5周年を祝うビデオも公開されていますのでぜひご覧ください。
今回のメイントピック
今回のBackstageCONの段階では、Backstageの大きな機能追加はなく、これまで進めていた New Frontend Systemが少し紹介されたくらいです。(4月2日のKubeConのほうで「The State of Backstage in 2025」というセッションがあるので、そちらで何か発表があるかもしれません)
では今回のメイントピックは何かというと、実際にBackstageを適用するにあたっての情報が多く語られていたように思います。 BackstageCONだけで今回300人くらいの方が参加されていたと思います(もう少しいたかもしれません)。そんな中でプロダクション環境で使っているという方が3−4割。(BackstageCONの参加者ですから当然かもしれませんが)検証も含めて実際に利用しているという方が大部分でした。多くの組織でプロダクション環境で利用されているということもあり、関心事の1つは実際の適用事例であるという印象です。その中でも注目すべきキーワードが「Ownership」と「Community」ではないでしょうか。
特に「Ownership」はいくつものセッションでキーワードとして挙げられていました。
Backstage導入に際して意識すべきこと
Backstageを実際に導入してきた様々な企業の事例から、導入と利用拡大にあたって必要な要素が2つあるそうです。
もちろん1つ目は「技術」なのですが、それだけでは利用拡大には至りません。もう1つ重要な要素が「Community」になるとのことです。 最初にBackstageを導入する際は、CCoEのような組織が中央集権的にBackstageを導入し、そこで提供するセルフサービス用テンプレートなどを提供していきます。しかし、それだけではスケールしていきません。やはり多くの人がテンプレートの改善や新規作成に協力してこそ、テンプレートなども成長しかつ多くのチーム・開発者に使われるものになります。こうした多くの人が関与する仕組みづくり、つまり組織内の「Community」が重要というわけです。
そして単に「Community」になっていればよいのではなく、そこで重要になるのが「Ownership」です。組織内で開発する各種サービスも同様ですが、Backstageで提供するコンテンツやテンプレートといったものも「Ownership」をはっきりさせることが重要です。「Ownership」が明確でないものは次第にメンテナンスされなくなり、古い内容のまま放置されてしまいます。「Ownership」を明確にし、必要なアップデートを継続し続けることが重要なのです。
BackstageをはじめとするInternal Developer Portalといったものはどうしても技術先行の目線で見てしまいます。しかし、技術だけでは利用は促進せず、そこに関わる人間に目を向けてこそ(=「Community」)本当に意義のあるポータルにしていくことができるのです。
ただし、何でもCommunityまかせにしてしまうのもまた問題があるようです。ガバナンスなど一定の部分はCCoE等でまとめつつ、組織内のCommunity活動にまかせていく、そうしたバランスも必要になります。
技術要素
そして技術に関するセッションも、よりよい/適切なBackstage環境を実現するための機能、というものがいくつか紹介されました。
- 大規模組織での適用にScaleできるBackstageの利用方法
- 監査に対応するAudit Service
- 模範的なテンプレート開発方法
- Single Source of TruthとしてのBackstage CatalogとTerraformの連携方法
などなど。
これらに関しては各種情報リンクなどを添える形で後日ご紹介していきたいと思っていますのでお楽しみに。
おわりに
さて明日からはKubeCon + CloudNativeCon 2025 EUの本編がはじまります。現地でもたぶん1万人くらいの方が参加される熱いイベントです。その熱気が影響したかロンドンは少し暖かいくらいです(寒いだろうと予想して厚着してきたのが裏目に出ています)。
1つ1つのセッションの詳細というわけにはいかないとは思いますが、現地からの情報を少しでもお届けできたらと考えております。 ご期待ください。