こんばんは、ACS事業部の吉川です。
Microsoft Ignite 2023速報と題し、更新情報をお届けしています。
今回のIgniteのキーノートはデータセンターなどの物理レイヤーの話からスタートしました。
普段クラウドを利用する上ではあまり意識することのない部分ですが、この領域のMicrosoftの取り組みについて見てみましょう。
Azure Boost
Azure Boost は従来Hypervisor・ホストOSのレイヤーで実行されていた処理をオフロードするための専用ハードウェアです。少し前からプレビュー状態でしたが、この度GAとなりました。
GAされたと言っても、ユーザーである我々が何か意識することはありません。Azure Boostに対応したサイズのVMを利用するだけでその恩恵を得られます。対応したサイズは以下のドキュメントに記載がありますが、Dsv5などの汎用的なサイズも対象となっています。
Azure Boostにより、ストレージ・ネットワークのスループットが向上するとされています。広くメリットがありそうですね。
Azure Cobalt
Azure Cobalt は、Microsoftが設計したArmアーキテクチャのCPUです。Fastest Arm CPU of any cloud provider
というアピールがされていました。
メジャーなクラウドベンダーでのArm CPUの提供状況は以下のとおりです。
- Azure(現状): Ampere Altra (Ampere Computing社)
- AWS: Graviton (AWSが買収したAnnapurna Labsによる独自設計)
- Google Cloud: Ampere Altra (Ampere Computing社)
- Oracle Cloud: Ampere Altra (Ampere Computing社)
自社独自設計のCPUを打ち出してきたのは、AWSを意識している部分も大きいでしょう。
今後どう提供されるのかは言及されていませんでしたが、VMのCPUとして提供されるのかなと予想します。
Ampereマシンは日本リージョンに来てないままので、Cobaltマシンの展開はいつになるのかが気になるところです。もちろん価格も気になります(お安くしてほしい…!)
Azure Maia
Cobaltと同じくMicrosoft設計の独自チップとして発表されたのが Azure Maia です。
Cobaltが汎用CPUなのに対し、MaiaはLLMの学習や推論処理に特化したアクセラレーターです。各種CopilotやAzure OpenAI Serviceを支えるチップとなるそうです。
発表の中ではMaiaシステムを格納するラックについても言及されていました。AIワークロードが発する膨大な熱を冷やすため、専用の液冷システムと組み合わせて利用するそうです。
NVIDIA H200, AMD MI300X
NVIDIAとAMDそれぞれの最新GPUを搭載したVMの予告がありました。
H200は来年提供開始予定、MI300Xは招待制のアーリーアクセスとなるとのことです。
特にNVIDIAに関してはキーノート中にCEOも登場し、NVIDIA AI foundry serviceのAzure上での提供をアピールするなど、関係性の強さをアピールしていました。
おわりに
Microsoftはゼロカーボンやウォーターポジティブといった環境に関する目標を掲げています。今回の各独自施策の発表はそれを実現するための大胆な取り組みであると感じました。
足元のAIに関する需要は既存のGPUメーカーとタッグを組みつつ、将来に向けては自社独自チップの導入により電力効率を上げていこう、という流れが感じられる発表でした。
クラウドを利用するだけだとすっかり忘れがちですが、データセンターは大規模に電力を消費する設備です。Microsoftのような大企業でないと実現できない施策で、どんどん効率化を目指していただきたいものですね。
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