はじめに

こんにちは。クラウド事業部の有野です。

先日OCIの資格を取得してきましたが、思えばデータベースサービスに関する問題が1問もなかったことに気が付きました。

せっかくなのでOCIにおけるデータベースサービスの形態についても大枠を理解しておきたく、 「どんな種類が用意されているのか？」を簡単に調べてみました。

また、私はこれまでAWS以外のクラウドを触ったことがないので、理解を促すために「AWSのサービスに当てはめるとどうなのか？」も併せて記載してみました。

Oracle Databaseのサービス形態が3系統

OCIはOracleのクラウドサービスなので、やはりOracleエンジンのデータベースサービスが充実しています。 OCIで利用できるOracleデータベースは大きく下記の3系統があります。

Base Database Service
Exadata Database Service
Autonomous Database Service

それぞれについて、説明します。

1. Base Database Service

Base Database Serviceは、ユーザーがOSやデータベースの管理を細かく制御できる、OCIのPaaS（Platform as a Service）型データベースです。

仮想マシン（VM）やベアメタルサーバー（Bare Metal）上でOracle Databaseを実行します。
OSやデータベースへのアクセス（root権限やoracleユーザー）をユーザー側で管理し、パッチ適用、バックアップ、バージョン管理などを手動またはスケジュールベースで行います。
必要なリソース（CPUコア数、ストレージ）を細かく選択でき、柔軟にコストを最適化できます。。 OCIのOracle Databaseサービスの中ではオンプレミスに近い形態なので、用途としてはオンプレミスからのリフト＆シフトとなるかと思います。また、OSレベルでのカスタマイズが必要な場合の選択肢となります。

AWSに直接当てはめるのは難しいですが、「Amazon RDS for Oracle」と「Amazon EC2上のセルフマネージドOracle DB」との間、のような印象を受けました。 OCIのBase Database Serviceは、AWSのRDSよりもOSレベルでの制御（rootアクセスなど）の自由度が高い傾向があるようです。

2. Exadata Database Service

Exadataとは言うなれば「Oracleデータベースのために設計された専用マシン」のようです。 Exadata Database Serviceでは、このExadataシステムを基盤として動作し、 Oracle Databaseの最高のパフォーマンスとスケーラビリティを持ちます。

データベースサーバー、ストレージサーバー、高速なネットワークが統合されたExadataハードウェア上で動作します。
Base Database Serviceと同様に、ユーザーがOSやデータベースの管理を細かく制御します。
OCI専用リージョンで提供される「Exadata Cloud Service」と、顧客のデータセンター内でOCIを運用する「Exadata Cloud@Customer」の形態があります。

用途としては、ミッションクリティカルでハイパフォーマンスが求められるシステムでしょうか。

AWSでは、このような専用アプライアンスを利用したデータベースサービスは存在しないと思います。

3. Autonomous Database Service

Autonomous Database Serviceは、AIと機械学習を活用して、データベースの管理を自動化・自律化したサービスです。

プロビジョニング、パッチ適用、バックアップ、セキュリティ、チューニング、スケーリングがすべて自動で実行されます。
Exadataハードウェアを基盤としています。これにより、高性能かつ自律的な運用が可能です。
ワークロード別に種類が存在します。
- Autonomous Transaction Processing (ATP) : リレーショナルデータベース。トランザクション処理向け。
- Autonomous Data Warehouse (ADW) : データウェアハウス（分析処理）向け。
- Autonomous JSON Database : 非リレーショナルデータべース。

用途としては、運用管理の負担を最小限に抑えたい場合、それ以外にも多くのワークロードに適用できると思われます。

AWSに当てはめると、Amazon Auroraが近いのではないでしょうか。フルマネージドで、ストレージの自動スケーリングや高い可用性を提供するクラウドネイティブなデータベースである点が一致していると思います。

Oracleエンジン以外のデータベースサービス

前述したデータベースは全てOracleエンジンですが、 OCIではOracleエンジン以外のデータベースの受け皿を用意しています。

MySQL HeatWave

MySQL HeatWaveは、MySQLをOCI上でフルマネージドで提供するサービスです。

インメモリのクエリ処理エンジンである「HeatWave」を統合しています。
これにより、トランザクション処理と分析処理を単一のデータベースで高速に実行できます。
フルマネージドで、パッチ適用、バックアップ、障害検出などはOCI側で自動的に管理されます。

トランザクション処理と分析処理を単一のデータベース内で実行できるのが強みのようで、 AWSに当てはめると、Amazon Aurora MySQLとAmazon Redshiftを合わせたようなイメージです。

NoSQL Database Cloud Service

NoSQL Database Cloud Serviceは、フルマネージドのNoSQLデータベースサービスです。

キー/バリュー（Key-Value）とドキュメント（JSON）の両方のデータをサポートしています。
リソースを自動的にスケールさせることができ、使用した分だけ課金されます。

AWSに当てはめると、Amazon DynamoDBと近いものと思います。

まとめ

ここまで記載した内容をAWSとOCIの比較表にしてみました。

コンセプト	AWS	OCI
リレーショナルデータベース	RDS, Aurora	Autonomous Transaction Processing (ATP), Base Database Service, Exadata Database Service, MySQL HeatWav
非リレーショナル / No-SQL	Amazon DynamoDB	Autonomous JSON Database, NoSQL Database Cloud Service
データウェアハウス	Amazon Redshift	Autonomous Data Warehouse (ADW), MySQL HeatWave