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JANOG Meeting 44 in KOBE 参加レポート<後編>

SIS事業本部の長谷川です。 "イベントレポーター"に任命され、JANOG44に行ってきました。
参加したセッションの概要と所感を、前・後編に分けてご紹介します。
今回は後編(7/26)です。

07/26 参加プログラム

ここから始めよう運用自動化

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このセッションでは、当社のテクニカルエバンジェリスト 横地が登壇しました。

【主旨】

運用自動化を始めるに至るプロセスについて考える。

【内容】

なぜ運用自動化する必要があるのか

  • 今後は確実に人的リソースが枯渇する
  • 実際に運用者が行う業務はTrafficの増加や技術革新によって爆発的に増加する
  • 働き方改革に伴う、在宅勤務やシェオフィス等の勤務環境の変化(常駐勤務は今後なくなっていく)
  • 自動化を取り巻く環境の変化
    ・外部環境:技術の多様化(自動化を達成するべき手段の増加)
    ・内部環境:自動化を迫られている、もしくはやっていこうとする空気に変わっている

①運用責任者が実行するべきこと

  • 目的に対する適切な手段を提案していくことで自動化が始まっていく
  • コアコンピタンスの明確化
    →業務範囲の明確化→業務内容の分析→人と機械の住み分け→実際に自動化する業務の決定

②運用リーダーの実施するべきこと

  • 運用における各作業の自動化前後でのスコアリング(優先順位付け)
    例1)動機の観点での前後評価
     前:難しそう、やってみたい
     後:リスクがある、メリットがありそう
    例2)動機の観点での大小評価
     大:やってみたい、メリットがありそう
     小:難しそう、リスクがある

 ・前後と大小の2軸で4つに分類する
 ・上記4分類を各作業毎にスコアリングする
 ・スコアの高いものから優先して自動化していく
 ・観点は各現場ごとにリターンやリスクを考えていく必要がある(品質、人的リソース等々)
 ・これらの観点は運用にかかわる人間全員で把握、理解しておく必要がある
思い付きではなく、何か明確な基準に基づいた見える化(数値化)された優先度を用いて、自動化を進めていく必要がある

③運用マネージャーの実施するべきこと

  • 運用マネージャーとは、トップダウンとボトムアップを整合的に接合できる人→中間管理職
  • 運用責任者の意向を現場に伝える(トップダウン)
    コアコンピタンスを中心とした公式業務の定義(PDCAサイクルを用いた定義)
    平易な業務を自動化対象とする
    その業務をどこまで自動化するかの基準として以下がある
    ・自動化レベル
     L1~L5:人間が許可しないと実行しない
     L6~L10:人間の許可を待たずに実行される
    ・Infrastructure as Code
     自動化するためにはコード化(Ansible等)できなければならない
    ・LC4RI (Literate Computing for Reproducible Infrastructure)
     業務をnotebookで表現することで、人間が主体となって実行することも、介在せずに実行することもできる
  • 現場の状況を運用責任者に伝える(ボトムアップ)
    業務分析をしてポイントの高いもの(優先度が高い)から自動していく
    自動化が進むとどうなるか
    ・単純作業の削減
    ・現場がアジャイルになる(問題を未然に防ぐことができるような体制)
    ・自動化後の維持コストは引き続きかかる
  • チームを作ること
    ・人が育つ環境作り
    ・エースとメンバの情報共有のための仕組み作り
  • プレイングマネージャーは成立しない
    業務が高度化した現代では、プレイングマネージャーという名のプレイヤーしか生まれない

【所感】

一番狭い会議室で実施されましたが、すぐに満席になり注目度の高さを感じました。
技術に特化した内容ではなく、マネジメント側に傾けた如何にして自動化を実行するかという内容で 興味深かったです。
質疑応答の時間では運用と開発を分けて考えている非効率性や、原因となっているお金や人の 問題等の生々しい話が聞けて、とても面白かったです。(NTT Com、NTTテクノクロス、NTT東の方々がそれぞれ発言してました)
やはりトップダウンという言葉に抵抗があるのかボトムアップ主導で言う意見が多かったです。
発表ではトップとボトムの整合をという内容だったのでどちらも両立しないと 良いものはできないんだなと感じました。

【今後について】

自動化については数年前から業界内で非常に高い関心がありましたが、これまではなかなか自分の身近なものにはなりませんでした。
技術的な分野ではAnsible等のオープンソースのツールがあることは知っていましたが、実際に自動化を導入するためのプロセスについては知ることがありませんでした。
今回、具体的な役割毎に実施するべき理想と現実を知ることができたので、今後自分が導入する側になったときに参考にしていきたいと思います。

JANOGに参加しての感想

  • JANOGというイベントに対する関心の高さ
    多数の企業がブースを設営しており、JANOGというイベントに対する高い関心がうかがえました。
  • 運用自動化というワードの持つ高い注目度
    自動化については数年前からホットワードとして扱われていますが、今回の横地さんの登壇プログラムが超満員になったことからも、自動化には依然として高い関心があることを感じました。
  • エンジニアのみならず営業職の方も多数参加しておりビジネスのきっかけとしての意味合いもある
    メインプログラムのみならず、懇親会にも多数の各企業の営業の方が参加していました。 JANOGはエンジニア間の交流だけではなく、ビジネスのきっかけをつかむ場所にもなりつつあると感じました。
  • イベント参加は楽しい、おもしろい
    今回初めてこういったイベントに参加しましたが、普段触れることのない知識等に触れることができ、非常に楽しかったです。 同時に「インフラ業界」の今を知ることができたり、これからを知ることができたりして非常に面白かったです。

JANOGに参加しての今後の目標

  1. インフラ業界における「運用」と「開発」の融合
    自動化を実現していくうえで、実業務を行う運用と自動化を実現する開発の融合は、必要不可欠であると感じました。 なので、今後は自分のスキルアップと同時に、開発部隊との越境、ひいては融合を実現できるように積極的アプローチしていきます。 現状自分の所属しているチームで自動化を導入するという動きもあるので、そういった一つ一つのきっかけを大切にしていきます。

  2. 自分の得た知識を展開していく
    イベントで様々な方が壇上で講義やディスカッションを行うところを見て、非常に興味深かったです。 自分の知識を様々な方法で展開することによって、新たな発見等があることが分かりました。 現状、現場内で共有会を行うことで、それぞれの知識や疑問を展開することができる場が整っていますが、今後は現場という狭いコミュニティにとらわれずに、会社全体ひいては社会に対して展開していく必要があると感じました。 今回の参加レポートをきっかけとして、今後も知識の展開に取り組んでいきたいと思います。

おまけ

懇親会では個別に参加していたりブース出展していた当社のメンバー達と合流し、おいしいお酒と食事を頂いてきました。
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