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株式会社エーピーコミュニケーションズの技術ブログです。

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【アリババクラウドとAWS】違っていて気をつけたいところ

この記事はエーピーコミュニケーションズの AdventCalendar 20日目の記事となります。

初めまして。こんにちは。神楽 燐人( id:benelux ) と申します。
会社の技術ブログでの投稿は初回となります。

最近、アリババクラウドとAWSどちらも触れる機会があり、
両者の違いや、気をつけたほうがいいことが分かってきたので、
まとめておきたいと思います。

これからアリババクラウドを使う方の参考になれば嬉しく思います。

AWSとは違っていて、少し気をつけたいところ

vSwitchの作成数上限

AWSではサブネットと呼ばれるVPCの設定ですが、
アリババクラウドでは、vSwitchという名称です。

どちらもVPCで定義したCIDRを区切るネットワークアドレスの設定となっていますが、
この設定はAWSとアリババクラウドで作成できる上限が違います。

サービス 設定名 作成数上限
AWS サブネット 200
アリババクラウド vSwitch 24

これだけ見ると、数に差はあっても、24個も作れるんじゃないかという印象を受けますが…。
冗長化を考えて設計していくと、足りなくなってしまうのでは、と思います。

たとえば、一つのWEBアプリケーションを構築するとして、
登場人物としては、SLB(ロードバランサー)、 ECS(コンピュート)、RDS(データベース)
3つのサービスを組み合わせて構築すると仮定します。

それぞれマルチAZで構築しようとすると、ゾーンの違うvSwitchを作成しますが、
3機能×2ゾーンとなり、6個のvSwitchを作成することになり…下表のようになります。

機能 ゾーン vSwitch
SLB ゾーンA 1
SLB ゾーンB 1
ECS ゾーンA 1
ECS ゾーンB 1
RDS ゾーンA 1
RDS ゾーンB 1

これは例ですが、さらに、本番環境・開発環境を用意するとなったら、どうでしょうか。
さらにその倍の12個のvSwitchを用意することになります。
すでに上限の半分を使っている状態ですね。

ここに、もう一つ同じ構成の環境を構築したいとなった場合、
24個のvSwitchが作成され、上限いっぱいになってしまいます。

回避策

回避策というほどのことでも無いのですが、アプリケーションごとにVPCを作れば、
vSwitchの数が足りないといった事態になることもなく、余裕を持った設計が可能になります。

アリババクラウドを使う上で、AWSと同じようにサブネットが200個作れると思い込んでいると、
ハマってしまう思わぬ落とし穴ではないか、と思います。

ちょっとした違い

ここからは大きな落とし穴ではないですが、
AWSとアリババクラウドで動きが違う部分をいくつか挙げたいと思います。

ディスク容量制限

アリババクラウドではOSがインストールされている
ルートディスクの容量に制限があり、500GBまでとなっています。

追加ディスクには500GBの制限が無いようなので、大容量のディスクが必要な場合は、
追加ディスクにて容量を確保する構成にする必要があります。

AWSではルートディスクのこういった制限が無いので、
アリババクラウドでも無いだろう、と踏んで構築しようとすると、
ディスクの構成を変更することになるかもしれません。

追加ディスクの取り扱いの違い

アリババクラウドではWindowsServerのECSを構成する際、追加ディスクをつけておくと、
追加ディスクもフォーマットされ、ドライブレターが付いた状態でインスタンスが作成されます。
AWSではフォーマットされていない状態で、アタッチされ、インスタンスが作成されます。

アリババクラウド方式の場合、ディスクを2つ以上追加して、
且つドライブレターを決め打ちで使いたいときは、
自動的にドライブレターが振られてしまうため、
自分でドライブレターを設定し直す必要があります。

AWSの場合は、フォーマットも自分で行うため、
マウントする際にドライブレターを設定することが出来ます。

どちらも一手間違うだけですが、微妙に動作が違う点です。

WindowsServerの初期パスワードの違い

アリババクラウドではWindowsのインスタンスを作成する際、
インスタンスを構築するウィザード中に初期パスワードを自由に設定することが出来ます。

WindowsServerの古いものだと出来ないかもしれませんが、
私が試した限りでは、WindowsServer2016 と
WindowsServer2019では、設定することが出来ました。

AWSではWindowsServerのインスタンスを作ると、ランダムなパスワードが設定され、
その初期パスワードを復号化するためにSSHキーペアを使うという、手順になっています。

まとめ

AWSと、アリババクラウドは、機能の名前こそ似ていますが、
中身も似ているかというと、そうではないところが多々あり、
AWSではこうだから、こうだろう、という風には行かないこともあります。

事前に検証するなどして、動きを確かめたり、余裕を持ったスケジュールで対応しないと、
想定と違っていてハマったりすることがありそうです。

これからアリババクラウドを使っていく方は、
気を付けて よいアリババクラウドライフを!