APC 技術ブログ

株式会社エーピーコミュニケーションズの技術ブログです。

株式会社 エーピーコミュニケーションズの技術ブログです。

「AI & Data - Agentic Hack ~Foundry IQ × Fabric IQ Challenge~」開催レポート

はじめに

こんにちは、iTOC事業部GDAI部-Lakehouseの林です。

株式会社エーピーコミュニケーションズ(以下、APC)は、2026年6月29日(月)、日本マイクロソフト株式会社と共催で「AI & Data - Agentic Hack ~Foundry IQ × Fabric IQ Challenge~」を開催しました。今回はコーチ兼レポーターとして、イベント当日の様子をお届けします!

本イベントは、2026年3月に開催した「AI & Data – Agentic Hack」に続く第2弾です。前回は多くのご好評をいただいたことを受け、今回は「Microsoft Build 2026」で発表されたMicrosoft Ecosystemの最新アップデートのご紹介に加え、3つのチャレンジを通じて、より実践的に学べる内容へとアップデートしました。

本記事では、当日のイベントと、参加者が実際に何を体験できたのかを、客観的・技術的な視点でレポートします。特に「AIエージェントを業務に取り入れたいが、経験も検証環境もなく一歩を踏み出せない」というData/AI領域の実務者にとって、本イベントがどのような学びの場になり得るのかを中心にお伝えします。

開催概要

  • イベント名:AI & Data - Agentic Hack ~Foundry IQ & Fabric IQ Challenge~
  • 日時:2026年6月29日(月)10:00~18:00
  • 会場:日本マイクロソフト株式会社 本社
  • 主催:日本マイクロソフト株式会社、株式会社エーピーコミュニケーションズ
  • 参加対象:Data/AI領域の実務者
  • 開発環境:各チームに専用のAzureリソース(SQL Database、ストレージ、Fabricワークスペース、Foundryプロジェクト等)があらかじめ用意され、自分たちで環境を構築することなく、その場で本格的な検証環境に触れられる形式

なぜ今、このハッカソンなのか

Fabric、Foundryはいずれも「Microsoft Build 2026」で大きくアップデートされ、「AIエージェントが組織のデータを正しく理解した上で動くための基盤」という方向性を強めています。一方で、Data/AI領域の実務者の間では、「AIエージェントを試したいが、何から手を付ければよいかわからない」「検証したくても自部門で環境をゼロから用意する時間もコストもない」といった声が多く聞かれます。また、AIエージェントの活用を検討・推進する企業は増えている一方で、本番運用までスムーズに展開できているケースはまだ限られており、「試してみたい」というニーズと「すぐに試せる環境」との間にギャップが存在しているのが現状です。

本ハッカソンは、このギャップを埋めるために、あらかじめ用意された本物のAzure環境と実務に近いシナリオを使い、Fabric IQ・Foundry IQを1日で触り倒せる場として設計されています。環境がない、経験が浅いという参加者でも、その場で「自分たちの手で動くエージェント」を組み上げるところまで到達できる点が、本イベント最大の特徴です。

当日のイベント構成

当日は開会からクロージングまで、大きく「①最新技術のインプット」「②3つのチャレンジによるハンズオン」「③各チームの成果発表」という3部構成で進行しました。前半にインプットセッションのボリュームをしっかり確保し、「なぜこの技術が必要か」「Microsoftが描くエージェントプラットフォームの全体像」を理解したうえで、後半のハンズオンに入っていく流れが取られていました。

Fabric / Foundry最新アップデートの紹介 ― 何が組織に導入できるのか

ハンズオンに先立ち、「Microsoft Build 2026」で発表されたMicrosoft Fabric・Foundryの最新機能が紹介されました。参加者に「自社へ導入した場合、どのような機能を活用できるのか」を具体的にイメージしてもらうことを目的としています。要点は次の3つに整理できます。

  • Microsoft Foundry:Claudeを含む1万以上のAIモデルや、1,400以上の外部ツール・MCP連携にエージェントからアクセスできるほか、複数のエージェントをGUI上で連携させる「ワークフロー」機能、エージェントの品質やコストを継続的に評価・改善する仕組みが用意されている
  • Microsoft Fabric / Fabric IQ:社内外に散らばるデータ(Azure、他クラウド、オンプレミスなど)をコピーせずに仮想的に統合できる「OneLake」を中核に、データをAIエージェントが正しく解釈できる形に意味づけする「Fabric IQ」という新しいレイヤーが加わった
  • 開発体験の変化:GitHub Copilot CLIから自然言語のままFabricを操作できる仕組みや、AIエージェントと対話しながらアプリを作る低コードフレームワークなど、コードを書く量そのものを減らす方向にツールが進化している

これらはいずれも「専任の基盤チームがいなくても、業務データに基づくAIエージェントを組める」という方向性を示すものであり、後半のハンズオンはこれを実地で確かめる内容になっていました。

メインコンテンツ:3つのチャレンジで体感する「AI-Ready Data × Multi-Agent」

本イベントの核となるのが、3つの段階的なチャレンジです。「①データをAIエージェントが使える状態に整える」→「②そのデータを使うエージェントを作る」→「③複数のエージェントを連携させ実務ワークフローに仕立てる」という構成になっており、前段で作ったものを次のチャレンジでそのまま活用していきます。

チャレンジ1:AI-Ready Dataの構築(Fabric IQ)

各チームには、あらかじめ売上データが入ったAzure SQL Databaseと、PDFファイルが入ったストレージが専用に用意されています。参加者はこれらをコピーを作らずにMicrosoft FabricのOneLake上に集約し、その上で「Data Agent」を作成しました。Data Agentの設定はSQLやコードではなく自然言語の指示書ベースで行うため、参加者は「上位商品の売上を教えて」といった質問を投げるだけで、裏側で自動生成されたクエリによる回答を確認できます。ふだんSQLを書く機会が少ない参加者にとっても、自然言語からデータにアクセスする体験そのものにインパクトがある内容でした。

チャレンジ2:Foundry IQによるナレッジエージェントの構築

2つ目のチャレンジでは、チャレンジ1で作ったData Agentを、ドキュメントなどの非構造化データを検索するナレッジベースと組み合わせ、Microsoft Foundry上で1つの「ナレッジエージェント」として統合しました。構造化データ(売上データ)と非構造化データ(文書)を、利用者からは区別なく1つのエージェントとして扱える点がポイントです。あわせて、エージェントの応答の裏側でどのようなやり取りが行われているかをFoundryの画面上でトレース・評価する時間も設けられており、「作って終わり」ではなく「動きを観測し、改善する」というエージェント運用の一端にも触れられる内容でした。

チャレンジ3:実践シナリオによるマルチエージェント・ワークフロー構築

最後のチャレンジは、架空の飲料メーカーの新商品プロモーションを題材にした、より実務に近いシナリオです。売上データから訴求すべき商品を選び、広告コピーと画像を自動生成し、酒類広告に関する実在のルールに照らして法務チェックを行い、問題がなければMicrosoft Teamsで担当者に承認を依頼する——という一連の業務フローを、役割の異なる複数のエージェント(データ抽出、広告文生成、画像生成、ページ生成、法務チェック、Teams通知)を連携させて自動化しました。

ここで印象的だったのは、これら複数のエージェントの連携そのものを、コードを書かずに「Foundry Workflow」という画面上の設計図を組み立てる感覚で実装できた点です。単純に処理を前から後ろへ渡す構成だけでなく、「法務チェックがNGなら差し戻し、OKならTeamsへ通知する」といった条件分岐も、画面上の操作だけで組み込めることが示されていました。各チームは最後の発表時間で、実際に自分たちが組んだワークフローをその場で動かし、Teamsに承認依頼が届くところまでを実演しました。

イベント当日の様子

参加者にとっての体験価値

技術的な内容を振り返ると、本イベントが従来のセミナー形式のインプットと一線を画していたのは、次の2点に集約されると考えます。

一つ目は、GitHub Copilot CLIの利用権限とサンプルコードがセットで提供されていた点です。ゼロからすべてを自分で書き起こす場合に比べ、動作するサンプルを土台として持てることは、特に経験の浅い参加者にとって学習のハードルを大きく下げます。各チャレンジを通じて実際に手を動かしながら学べるため、講義を聞くだけの学習に比べて記憶にも残りやすく、理解の定着度も格段に高まります。こうした形で「すぐに試せる」サンプルと実行権限がセットで提供される機会は、非常に貴重だと感じました。

二つ目は、エージェントの構成そのものをGUIで組み立てられるようになっていた点です。これまでエージェント開発では、コードを書き、モデルを選定・統合し、アーキテクチャを設計し、システムプロンプトを作り込み、MCPサーバーとの接続を自力で構築する、という作業を開発者がすべて自分で行う必要がありました。しかし今回のハッカソンでは、こうした作業の多くがFoundryのUI上で完結しており、参加者はワークフローを視覚的に組み立てながらマルチエージェント構成を体験できました。マルチエージェントアーキテクチャやAIオーケストレーションの概念にまだ馴染みのない参加者にとって、特に学習のハードルを下げる設計になっていたと言えるでしょう。

まとめ

「AI & Data - Agentic Hack ~Foundry IQ × Fabric IQ Challenge~」は、Fabric IQ・Foundry IQという最新アップデートを軸に、AI-Ready Dataの整備からナレッジエージェント構築、実務シナリオに基づくマルチエージェント・ワークフロー構築までを、本物のAzure環境の上で1日かけて体験できるハンズオンイベントでした。

普段は環境構築の負荷や検証コストの高さから「触ってみたいが試せない」となりがちなAIエージェント関連技術を、サンプルコードによる下支えとGUIによるノーコード的な構築という2つのアプローチで、参加者自身の手で実際に動かすところまで導く内容になっており、Data/AI領域の実務者が自社でのMicrosoft Fabric / Foundry採用を検討するうえで、具体的な判断材料を得られる貴重な機会になったのではないかと思います。

AIエージェント活用にご関心のあるData/AI領域の皆さまは、ぜひ次回の開催情報にもご注目ください。APCでは、Microsoft Fabric / Foundryの導入検討や、AIエージェントを活用したデータ基盤構築のご相談も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。