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ハイブリッドワーク時代で実現する安全な生成AIの利用~in Interop Tokyo 2026~

1.はじめに

はじめまして。2026年度新卒で入社いたしました組織能力開発部の仲地琉希です。

先日、幕張メッセで開催されたネットワーク技術に関するイベントであるInterop Tokyo 2026へ研修の一環で参加する機会をいただきました。

今回はそのInterop内の様々なブースで展示を行っていた生成AIとネットワークセキュリティ技術に興味を持ち、そこで得た学びを皆様へ共有したいと思い、技術ブログを作成いたしました。 技術面および執筆面ともに至らない点もあるかと思いますが、本記事が皆様のご参考になれば幸いです。

本記事の内容は投稿者個人の見解であり、所属組織の公式な見解を表すものではありません。

私が撮影した入口の電子看板

2.Interopと今年のテーマとは

今年で33回目となるInterop Tokyoは、「Interoperability(相互接続性)」を追求し、最新の機器・技術・サービスが「きちんと実稼動する」姿を体験できる場です。展示会には国内のみならず国外からも多くの企業が出展しております。 キャッチフレーズには、「I know it works because I saw it at Interop(実際に働いているところが見たい。ここに来ればそれが分かる)」を、1994年にはじめてInteropが日本で開催された際に掲げ、Interopの原点とも言えるべき表現です。

出典:Interop Tokyo 2026 実行委員会 公式サイト

www.interop.jp

また今年のテーマとして実行委員長は、「AIとインターネットの次章。~Internet for AI, AI for Internet~」とし、AIが単体のツールを超えて社会の「OS(基盤)」として機能し始める時代が到来したことを掲げました。 この最先端のトレンドを反映してか、会場は終始圧倒されるほどの活気があり、先進技術を網羅した各セミナーもほぼ満席のセッションが目立ちました。各ブースでは工夫を凝らしたノベルティ配布や、実機を用いた熱のこもったデモンストレーションなどが行われており、来場者も多く、イベント全体が非常に盛況でした。

私は今回、このような大規模なITに関するイベントに参加するのが初めてでした。しかし、世の中で急速に普及が進む最前線で活躍する企業の展示ブースを見てまわる中で、机上の空論ではなく「技術が現場で実際にどう設計され、どう動いているのか」を肌で体感しながら学ぶことができ、とても勉強になりました。

次の章からは、今回の展示の中で私が特に強い印象を受け、興味を抱いたセキュリティ技術について詳しく説明します。

3.「クラウド型セキュリティによる生成AIの安全な利用統制」技術

中でも印象に残ったのが、Ciscoパートナーパビリオン内、KDDI株式会社様(以下、KDDI)のブースで紹介されていた「クラウド型セキュリティによる生成AIの安全な利用統制」技術です。

出典:Interop Tokyo 2026 実行委員会 公式サイト「KDDI 出展情報」

f2ff.jp

3.1.ゼロトラスト時代におけるハイブリッドワークの通信ネットワーク

現在、多くの企業がオフィス出社と在宅勤務を組み合わせた「ハイブリッドワーク」を取り入れています。 しかし、従来のネットワーク構成(すべての通信を一度本社の社内ネットワークを経由させ、セキュリティ機器を集約したデータセンターを通してからインターネットへ接続する方式)のままでは、全社員が一斉にWeb会議を始めたり、クラウドサービス(SaaS)を活用したりすることで、センター側の回線がパンクしてしまうという重大な課題を抱えていました。

引用元:KDDI株式会社 公式サイト https://biz.kddi.com/solution/managed_zerotrust/

これでは、自宅やオフィスといった「どこでも仕事ができる環境」があっても、画面が固まる、接続が遅いといった通信遅延によるストレスを従業員が抱えることになり、業務効率が著しく低下してしまいます。

3.2.どこでも快適に、安全に「KDDIが実現するネットワーク構成」

KDDIが提示したソリューションは、この通信ネックを解消し、「境界で守る」従来のセキュリティから、「すべての通信を信頼しない」というゼロトラスト(Zero Trust Access)の概念へのシンプルな移行計画を具現化したものでした。

具体的には、働く場所に応じて以下のようにネットワーク構成を最適化(使い分け)しています。

【オフィスからの通信(インターネットブレイクアウトの実現)】

本構成では、従来の「すべての通信を一度特定のデータセンターへ集約させる環境」に代わり、クラウド型セキュリティ基盤を活用してトラフィックを直接分散させる環境を前提としています。

オフィスからの特定のSaaSやインターネット向けの通信は、IPsecを用いてCisco Secure Accessへトンネリングされます。

【テレワーク(自宅など)からの通信(強固な暗号化とオフロード)】

自宅から社内システムやクラウドへアクセスする際は、パソコンに導入した共通エージェント「SecureClient(KDDI Flex Remote Access:以下KDDI FRE)」を起点とします。

自宅からのSaaSへの通信は、まずVPNを経由するのではなく、インターネットを通じてクラウド型セキュリティ基盤である「Cisco Secure Access」へ接続し、そこから各クラウドやインターネット、SaaSへとつながる流れです。

また、自宅から社内システムへアクセスする際は、KDDI FREから社内VPNを通じて、社内ネットワーク網「KDDI Wide Area Virtual Switch (KDDI WVS/WVS2)」へと向かい、最終的に「社内システムへ」とアクセスする流れとなります。

Interop Tokyo 2026のCiscoパートナーパビリオン内、KDDI株式会社様のブースにて配布されていたパンフレット「ゼロトラスト移行を加速させるセキュア接続基盤 Cisco Secure Access(2026年6月作成)」より引用

このように、KDDI FREの「Dynamic Split Tunneling」技術により、特定のホスト名やドメイン名に合致するインターネット・SaaS向けの通信を、社内システム向けのVPNから除外(オフロード)します。そのため、上記の通信は社内ネットワーク網(KDDI WVS/WVS2)側へ向かうことなく、「Cisco Secure Access」を経由し、そのままクラウドやインターネットへと抜ける経路になります。 その結果、自宅からの通信であってもWeb会議などで発生する「回線の混雑」を回避する対策として有効です。

3.3.生成AIアプリケーションへの安全なアクセス制御

この仕組みにおいて、今回のテーマの核心である「生成AIの安全な利用統制」を直接担うのが、Cisco Secure Accessが持つZTNA(Zero Trust Network Access)機能です。 本技術は、業務で利用するChatGPTなどの生成AIアプリケーションに対しても強力な威力を発揮します。社内ルールで許可された安全な生成AIアプリケーションへの通信のみを許可し、個人アカウントでの利用や、会社が把握していない危険な類似ツール(シャドーAI)へのアクセスをアプリケーションレベルできめ細かくブロックします。

これにより、従業員の利便性を損なうことなく、機密データが不用意に外部のAIに送信されるリスク(情報漏洩)を、通信の経由地となる「クラウド型セキュリティ基盤」がその手前で確実にシャットアウトします。

3.4.利用者にとってのメリット

この技術がもたらす最大のメリットは、システム的な仕組みの高度さよりも、「利用者(従業員)が場所や接続手順の複雑さを一切意識しなくてよくなる」という究極の利便性にあります。 従来の環境では、「社内システムを使うときはこのVPNソフトを起動し、ChatGPTなどの外部ツールを使うときは一度接続を切って……」といった、場所やアプリに応じた煩雑な操作が必要でした。

引用元:KDDI株式会社 公式サイト https://biz.kddi.com/solution/managed_zerotrust/

しかし、KDDIが提供する基盤では、ユーザーはパソコンを立ち上げるだけで、自動的に「Cisco Secure Access」という世界最高峰のクラウド型セキュリティに守られます。従来の社内業務システムへのアクセスから、最新のSaaSアプリケーション、さらには生成AIアプリケーションの利用制御にいたるまで、すべてが「1つの共通ソフト」で完結するからです。

システム管理者は、ユーザーがどこにいても安全なインターネット通信を提供・制御でき 、一般の利用者は「今どこに繋がっているか」を気にすることなく、使い慣れたChatGPTなどの生成AIを、機密漏洩のリスクなく安全かつ快適に使い倒すことができます。

続く最終章では、本記事の締めくくりとして、展示会全体を通じて見えてきた今後のセキュリティの方向性のまとめと、今回Interop Tokyo 2026に実際に参加してみて得られた感想について詳しく振り返ります。

【参考文献】

KDDI株式会社 公式サイト「マネージド ゼロトラスト」: biz.kddi.com

KDDI株式会社 公式サイト「ゼロトラストブログ vol.03」: biz.kddi.com

4.まとめおよび感想

今回、初めてInterop Tokyoに参加し、「AIとインターネット」が実際の業務やインフラのなかにどう深く関わっているかを理解する非常に良い機会になりました。

特に、ブースで詳しく伺ったKDDIの「クラウド型セキュリティによる生成AIの安全な利用統制」技術が非常に印象に残っています。最先端のゼロトラスト技術が、実際のビジネスの現場でどのように設計され、企業の機密漏洩を防ぐために稼働しているのか詳しく聞き学ぶことができ、貴重な体験になりました。 今後のITの自動化や生成AIの進化によって、ネットワーク運用などの業務の一部は確実に機械化されていくことが予想されます。

しかし、今回学んだKDDIの高度なゼロトラスト設計のように、複雑な課題に対して最適な環境を組み上げるインフラ設計・管理やセキュリティの領域では、最終的に「人の判断と経験」が求められていると感じました。 利用者が「場所や複雑な手順を意識しなくてよい自動化環境」を作るためにこそ、企業の業務文脈やリスクを正しく評価し、エンジニアの高度な設計思想と経験の価値および市場価値が今後さらに高まっていくのだろうと感じました。

来年以降の参加を検討している方には、会場が非常に広大であるため、事前に出展者リストや講演情報を確認しておくことをおすすめします。 また、各ブースの見学やデモ体験は枠や時間が限られている場合もあるため、事前のスケジュール管理は早めが良いと感じました。

Interop Tokyoは、初心者でも実際に技術を見て触れて、学ぶきっかけや視野を広げられる素晴らしい展示会でした。ぜひ今後も継続して参加していきたいです。

メンターからのひとこと

本記事の作成の支援を担当した、エンジニアリングメンター室の横地です。エンジニアリングメンター室では、このようアウトプットを支援する活動を行っています。私の立場からひとこと添えさせていただきます。

Interop では「生成AI」というテーマだけでも様々なテーマの展示がありました。その中で「生成AIの安全な利用統制」という一歩踏み込んだテーマに着目したのが素晴らしいですね。

単に個人が便利に使えればよいという視点から、組織として活用と安全性の確保をどう両立するかという視点に切り替わったのではないかと思います。同時に、一人の利用者から管理者、つまりエンジニアとしての視点を身に着けているということも感じます。両方の視点を活かして、エンジニアとして活躍されることを楽しみにしています。

お疲れさまでした!