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【GitLab Duo Agent Platform】 お手本から学ぶ、カスタムエージェント作成のヒント

こんにちは、クラウド事業部 CI/CD導入支援サービスチームの西野です。

2026年1月にGitLab Duo Agent Platform(以下、DAP)が登場して数ヶ月、皆さんの現場では活用が進んでいますか? DAPは、「GitLab上のあらゆるデータをコンテキスト(文脈)として理解し、開発プロセス全体を自律的にサポートする」という革新的なプラットフォームです。

しかし、そのポテンシャルが高い一方で、どこから手を付ければいいかわからない方も多いのではないでしょうか。 本記事は、DAPの「カスタムエージェント」の機能にフォーカスし、自分専用のAIエージェントを自作できるようになるための「最初の手引き」となることを目指しています。
DAPの基本的な概念を解説したのち、カスタムエージェントを活用するためのヒントをご紹介します。

GitLab Duo Agent Platform (DAP) とは?

DAPは、単なるAIチャット機能・コード補完機能ではなく、GitLabに集約された情報(コード・Issue・CI/CDパイプライン・セキュリティスキャン結果など)を前提に自律的に動作するAIエージェントのためのプラットフォームです。
DAPのAIエージェントは、プロジェクトの内容を熟知したチームメンバーの一員のように振る舞います。
このDAPを理解するうえで欠かせないのが、以下の3つのキーワードです。

  • Agent(エージェント)
  • Flows(フロー)
  • AI Catalog(AIカタログ)

Agent(エージェント)

公式ドキュメントでは、「特定のタスクの実行や複雑な質問への回答を支援する、AI搭載アシスタント」とされていますが、砕いた表現をすると「特定の役割を与えられたAIキャラクター」です。カスタマイズが可能で、「Issueの要約が得意な人」「Rubyのコードレビューが厳しい人」など、目的に応じたAIエージェントを定義することができます。

エージェントには、以下の3つのタイプあります。

  • Foundational agents(基本エージェント):GitLabが一般的なワークフロー向けに作成した、デフォルトで登録済みのエージェントです。2026年5月現在、以下のエージェントが利用できます。
    • Planner
    • Security Analyst
    • Data Analyst
    • CI Expert
  • Custom agents(カスタムエージェント):チーム固有のニーズに合わせて作成および設定するエージェントです。システムプロンプトに、どのように振る舞わせるかを自然言語で定義します。★本記事のメインテーマです
  • External agents(外部エージェント):外部のAIモデル(Claudeなど)をGitLab上で動かすための仕組みです。

Flows(フロー)

「Issueが作成されたら、自動的に解決策を提案し、マージリクエストの下書きを作る」のように、エージェントに「いつ、何をさせるか」という一連の作業工程を自動化するワークフロー機能です。エージェント同様、「基本フロー」と呼ばれるGitLabにデフォルトで登録されているフローと、「カスタムフロー」と呼ばれる、チーム固有のニーズに合わせて作成・設定するフローが存在します。
※本記事ではエージェント作成にフォーカスするため、フローの詳細は割愛します。

AI Catalog(AIカタログ)

GitLab製のエージェント・フローや、組織内外のGitLabユーザーが作ったカスタムエージェント・カスタムフローが並ぶ「お店」のような仕組みです。ユーザーはここから自分が必要なエージェント・フローを探し、自分のプロジェクト向けに有効化して使い始めることができます。
誰かが作った「便利なAI活用ノウハウ」を、組織全体へ簡単に横展開できるのがDAPの大きな強みです。

お手本から学ぶエージェント定義のコツ

ここまでの説明で、DAPを使って、カスタムエージェント=「自分専用AIエージェント」が作ることができる、というところはご理解いただけたかと思います。
しかし、実際にエージェントを新規作成しようと画面(左サイドバーの AI -> エージェント の画面を開き、新しいエージェントをクリックする)を開くと、「ツール」や「システムプロンプト」に何を定義すべきかという壁に直面します。

「ツール」設定は、エージェントに許可する操作を制御する重要な要素です。公式ドキュメントには多くのツールがリストアップされていますが、膨大な選択肢の中から初見で最適な構成を選別するのは、容易ではありません。
また、「システムプロンプト」設定についても、出力の精度を安定させるための「効果的な書きぶり」が分からず、真っ白な入力欄を前に手が止まってしまいがちです。

そんな時は、Foundational agents(基本エージェント)やAIカタログで公開されているエージェントを参考にしてみましょう。

Planner Agent

Foundational agents(基本エージェント)の一つで、GitLabのプロダクト管理および計画ワークフローを支援する特化型AIエージェントです。作業をより効率的に作成、優先順位付け、追跡するのに役立ちます。
公式ドキュメント:https://docs.gitlab.com/ja-jp/user/duo_agent_platform/agents/foundational_agents/planner/

例えば、GitLab Duo Agentic ChatでPlanner Agentを設定して、以下のように質問するだけで、プロジェクトの抜け漏れを探し出し、修正(更新)まで代行してくれます。

見積もり、期日、担当者が不足している作業項目はどれですか?

Planner Agentの利用例

Planner Agentがどのように設定されているか見てみましょう。
詳細な設定内容は、実際にAI->エージェントの画面からPlanner Agentをクリックしてご覧いただければと思いますが、以下のような設定がされています。 ※2026年5月現在

  • ツール
    • GitLab内の情報を参照するツール
      • Get Current User、Get Repository File、Get Wiki Page、Get Work Itemなど
    • Issueの作成・更新のツール
      • Create Work Item、 Create Work Item Note、Update Work Item
  • システムプロンプト
    ※汎用的に活用できると感じた観点を紹介します。実際の内容は膨大で、下記以外の項目も記述されています。
    • Core Identity:役割の定義
    • Quick Data Retrieval Rules:データ取得のルール
    • Common Scenarios - Correct Approach:一般的なシナリオのアプローチ例
    • CRITICAL: Anti-Hallucination Rules:推測禁止・暴走(勝手な変更)禁止
    • Response Framework:回答の型

Daily Compass

最も影響力の大きいGitLabタスク(失敗したパイプライン、ブロックしている問題、マージリクエストのコメントからのクイックウィンなど)を表示し、どこから始めればよいかを正確に把握できるカスタムエージェントです。
こちらは筆者が先日受講したDAPのワークショップで扱われていました。
AIカタログで公開されているエージェントのため、すべてのGitLabユーザーが利用可能です。

例えば、GitLab Duo Agentic ChatでDaily Compassを設定して、以下のように質問することで、優先度が高いタスクをIssueやMRのリンク込みで回答し、推奨アクション順序を提案してくれます。

このプロジェクトで、まずは何から着手すべきですか?

Daily Compassの利用例

Daily Compassがどのように設定されているか見てみましょう。

  • ツール
    ※Plannerは計画に特化したツール中心でしたが、Daily Compassは開発から管理までマルチにこなせるように、「検索・読取・編集・実行」のツールがバランスよく登録されています。
    • GitLab内の情報を探索・検索するツール:Issue、Epic、MR 、ソースコード、ドキュメント、Wiki まで横断的に検索する
    • 現状を把握するためのツール:特定のファイルの読み取り、パイプラインの失敗ログやセキュリティ診断結果の取得、コミット履歴の確認などを行う
    • アクションを実行するツール:Issue や Epic の新規作成・更新、リポジトリ内のファイル作成・編集、シェルコマンドの実行、テストの実行、Git コマンドの操作など行う
    • プランニング支援ツール: タスクリストの作成・管理、進捗状況の更新といった、PM 的な管理業務を支援する
  • システムプロンプト
    ※汎用的に活用できると感じた観点を紹介します。実際の内容はAIカタログのDaily Compassのページからご覧ください。
    • (冒頭):役割の定義
    • Data Sources:収集対象のデータ
    • Priority Framework:優先順位の定義
    • Response Format:回答の型
    • Behavioral Rules:行動規範
    • Interaction Style:コミュニケーション作法

自分専用AIエージェントを作ってみる

お手本を参考に、プロジェクトに新規参画した若手または未経験エンジニアをサポートするカスタムエージェントを作成してみました。

  • ツール:
    • Gitlab Documentation Search
    • Get Wiki Page
    • Get Repository File
    • List Work Item
    • Get Work Item
    • Get Work Item Notes
    • GitLab Documentation Search
    • GitLab User Search

システムプロンプト:

# Role
あなたは、プロジェクトに配属されたばかりの若手・未経験エンジニアを支える「頼れる教育係(メンター)」です。新人が不安を感じず、自走できるようになるための技術的・プロセス的サポートを提供します。

# Objective
ユーザーの質問に対し、単に答えを出すだけでなく、「なぜそうなるのか」という背景知識を補足し、エンジニアとしての基礎体力を養うことを目的とします。

# Guidelines & Behavioral Rules
1. **用語解説の徹底**: 回答に含まれる専門用語や、プロジェクト固有の用語については、回答の最後に必ず「💡 用語解説」セクションを設けて注釈を入れてください。
2. **コンテキストの活用**: GitLab上のIssue、MR、Wikiを検索し、プロジェクト独自のルール(命名規則、ブランチ戦略、環境構築手順など)に基づいた回答をしてください。
3. **ステップバイステップ**: 複雑な操作が必要な場合は、箇条書きで1ステップずつ手順を提示してください。
4. **心理的安全性の確保**: 「良い質問ですね」「最初は誰でも迷うポイントです」といった、新人を勇気づけるポジティブなトーンを維持してください。
5. **GitLab URLの優先**: 関連するIssueやドキュメントを引用する際は、曖昧さを避けるため必ずフルURLで提示してください。

# Response Format
回答は以下の構成で出力してください。

**【回答見出し】**
(ユーザーの疑問に対する直接的な回答)

**【ステップ/詳細解説】**
(具体的な手順や、背景にある考え方の説明)

**💡 用語解説**
- 専門用語1: 〇〇という意味です。
- 専門用語2: このプロジェクトでは××を指します。

**【次のアクションの提案】**
「次は、このIssueを確認してみると理解が深まりますよ」といった提案。

利用例:

このプロジェクトで開発しているアプリケーションについて、教えてください。

オンボーディングメンター利用例
※自前の検証用のプロジェクトを対象としているので、一部マスキングしています

筆者が初めて作ったカスタムエージェントですが、なかなかいい仕事をしてくれそうです。
この手のエージェントはどのプロジェクトでも必要とされそうなので、プロンプトを自分好みにチューニングして、ぜひご活用ください。

まとめ

本記事では、既存のエージェントの設定を紐解きながら、カスタムエージェント作成のヒントを探ってきました。今回見えてきた「自分専用エージェント」を成功させるコツは、以下の3点に集約されると考えました。

  1. 「お手本」を見つけて真似する: ゼロからプロンプトを書く必要はありません。まずはAIカタログで、参考になりそうなお手本エージェントを見つけ、どのようなツールを選び、どのような指示を出しているかを参考にしましょう。

  2. 「行動規範(Behavioral Rules)」を言語化する: 「挨拶は不要」「IDを必ず添える」「まずは情報を調べてから考える」といった、皆さんのチームが普段大切にしている「仕事の進め方」をプロンプトに組み込みこみましょう。

  3. 役割を絞り、小さな一歩から始める: いきなり万能なエージェントを目指すのではなく、まずは「特定の言語のレビュー」など、範囲を絞って作成してみるのがおすすめです。

まずはAIカタログから気になるエージェントを一つ有効化し、その設定を覗いてみるところから始めてみてはいかがでしょうか。

弊社はGitLabオープンパートナー認定を受けております。 GitLabの導入支援はもちろん、お客様のプロジェクトにおける「GitLab Duo Agent Platform (DAP)」の活用をチケット制でご支援するQAサービスも提供しております。
「自社専用のエージェントを作りたい」「効果的なプロンプトを相談したい」といった実践的な課題解決をバックアップいたします。お困りのことがあれば、お気軽にお問い合わせください。