目次
はじめに
こんにちは、エーピーコミュニケーションズの松尾です。
OCIのおすすめポイントをAWSと比較する形で3つ、紹介したいと思います!
AWSも使ってきた私の独断と偏見です。
この記事で分かること
- OCIがAWSより優れているポイント3つ
- OCIが向いているユースケースが何か
OCIが優れている点3つ
私のおすすめ順に紹介します。
1.低コスト
2.ソブリンクラウド対応
3.VMwareワークロードのルート権限
1.低コスト
OCIはシェアトップ3(AWS、Azure、GCP)よりも後発のパブリッククラウドです。
そのため、クラウドを構成する「物理的なリソース」や「技術」等において最新のものをベースに設計・構築することが出来ています。技術革新や小さい改善の積み重ねが、より効率的にサービスを提供することに繋がっています。
具体的にいくつか比較してみたいと思います。
コンピュートサービス
クラウド | サービス名 | 試算条件 | 月額 |
---|---|---|---|
OCI | コンピュート | 1vCPU、メモリ8GB、1インスタンス、ボリューム100GB | $31.78 |
AWS | Amazon EC2 | 1vCPU、メモリ8GB、1インスタンス、ボリューム100GB | $53.98 |
コンピュートサービスは、OCIがAWSの60%程度となっています。ここではシンプルにするためデータ通信費は含んでいません。
ストレージ
クラウド | サービス名 | 試算条件 | 月額 |
---|---|---|---|
OCI | オブジェクトストレージ | Standard、10TB | $254.74 |
AWS | Amazon Simple Storage Service (S3) | 1vCPU、メモリ8GB、1インスタンス、ボリューム100GB | $256.00 |
オブジェクトストレージでは、OCIとAWSでほぼ同じという結果になりました。ここでもシンプルにするためデータ通信費は含んでいません。
ネットワーク
- パターン1:拠点数1、アウトバウンド通信10TB
クラウド | サービス名 | 試算条件 | 月額 |
---|---|---|---|
OCI | VPN | 1VPN、クラウドからのアウトバウンド10TB | $0 |
AWS | VPN | 1VPN、クラウドからのアウトバウンド10TB | $1,202.40 |
- パターン2:拠点数1、アウトバウンド通信100TB
クラウド | サービス名 | 試算条件 | 月額 |
---|---|---|---|
OCI | VPN | 1VPN、クラウドからのアウトバウンド100TB | $2,244.00 |
AWS | VPN | 1VPN、クラウドからのアウトバウンド100TB | $9,251.04 |
- パターン3:拠点数10、アウトバウンド通信10TB
クラウド | サービス名 | 試算条件 | 月額 |
---|---|---|---|
OCI | VPN | 10VPN、クラウドからのアウトバウンド10TB | $0 |
AWS | VPN | 10VPN、クラウドからのアウトバウンド10TB | $1,517.76 |
条件を変えた3パターンで比較してみました。いずれにしてもOCIの方が低コストであることが分かります。
ですが、実際にはパターン2のVPNで月100TBアウトプットはあまり無いかもしれません。100TBも使用するのであれば専用線が候補になりそうです。
ここでOCIの特徴は2つあります。
- VPNの維持費用が月額0円であること
- アウトバウンド通信が月10TBまで0円であること
維持費用は、AWSでは1VPNあたり約35$(月額)が必要です。仮に通信量が0だとしてもVPNを維持するために必要なコストが発生しますが、OCIではこれが0円となっています。
月に35$、約5,000円です。「使用頻度は低いけどセキュアな接続を維持しておきたい」場合には月額コストが0のOCIは候補にあがるのではないでしょうか。
VPN接続拠点が複数ある場合にはより影響が出てくる点です。
アウトバウント通信が10TBまで無料であること、これも大きいと思います。
もちろん用途次第で通信量は大きく変わりますが、バックアップ用途などであれば、10TBを超えるほどのアウトプット通信が発生することは少ないのではないでしょうか。(インプットはOCIもAWSも全て無償です)
おすすめポイント1:OCIはアウトバウント通信が10TBまで無料でVPNの維持費用は0!
2.ソブリンクラウド対応
「ソブリンクラウド」はご存じでしょうか。
クラウドの種類を示す概念のようなもので、「データの主権」にフォーカスしたクラウドのことを指します。
パブリッククラウドでは、顧客のデータが格納される物理的なロケーションが顧客とは別の国に存在したり、データに対して適用される法律が自国のものではなかったりすることが多いです。
これは厳格なルールでデータを扱いたい、扱う必要がある顧客の要件は満たせていません。
これに対してソブリンクラウドは、顧客に物理的な格納場所や適用される法律などの権限を渡すことを想定ています。
Oracleでは「ハイブリッドクラウド」「専用クラウド」など、細分化されていますが、ソブリンクラウドもこのあたりに含まれてきます。
ソブリンクラウドは、「データ主権」の観点でみるとパブリッククラウドとは大きく異なりますが、プライベートクラウドとは近いものがあります。
OCIとAWSで比較してみます。
- OCI
例えば専用クラウドの1メニューである「Dedicated-Redion」サービスで、42Uラックが3つあればほぼ全てのワークロードを顧客内で実行することができるとあります。
私は「3ラック」で「ほぼ全て」という点に驚きでした!
https://www.oracle.com/jp/cloud/cloud-at-customer/dedicated-region/
- AWS
AWS Outposts ラックとAWS Outposts サーバーがあり、AWS Outposts ラックでは、42Uラックが1つから、構成することができるようです。
サポートされているサービスはAWSサービスの一部です。一部とはいえIaaS系サービスを中心に一通り揃っている印象で、既にAWS上で他のワークロードを使っている顧客にはマッチするかもしれません。
https://aws.amazon.com/jp/outposts/
おすすめポイント2:3ラックでほぼ全ての機能を顧客管理で持つことができる!
3.VMwareワークロードのルート権限
オンプレミスでVMwareを利用していませんか?
物理筐体の管理やライセンス管理の手間からクラウドへ移行したい場合があると思います。
ただ、VMware仮想マシンからクラウド上への移行となると移行先や移行方法の検討を含め移行にかかる手間やコストは少なくありません。
OCIでは、OCVSというサービスでオンプレミスのVmwareをOCI上のマネージドVMwareサービスへ移行することができます。
ここまではAWSでも同様のサービスがありますが、大きな違いとして、OCIには「VMwareのルート権限を顧客が持てること」があります。
AWSでは完全なルート権限を顧客が持つことはできませんが、OCIでは顧客が持つことができます。
それによって、パッチ適用タイミングを完全にコントロールできたり、既存で使用している権限周りの設定やアプリケーションも基本的には変更せずにクラウドへ移行することができます。※もちろん実際の要件次第です。
おすすめポイント3:マネージドサービスなのにVMwareを(ほぼ)完全な管理下における!
まとめ
OCIのおすすめポイントを3つ紹介しました。
おすすめポイント1:OCIはアウトバウント通信が10TBまで無料でVPNの維持費用は0!
おすすめポイント2:3ラックでほぼ全ての機能を顧客管理で持つことができる!
おすすめポイント3:マネージドサービスなのにVMwareを(ほぼ)完全な管理下における!
ポイント1では、コストの中でもネットワーク周りである通信量とVPNを紹介しました。
通信量が少ないなど、使いかた次第では他クラウドよりもランニングコストを抑えた運用が可能です。
ポイント2では、データ主権にフォーカスしたソブリンクラウドの観点で紹介しました。
クラウドの活用が広がっていくなかで、「クラウドへ移行できない理由」の1つにデータ主権もあるのではないでしょうか。ミッションクリティカルなシステムなど、今までは移行先の検討でクラウドが除外されていたシステムも、これからはOCIのDedicated-Redion等が要件を満たす選択肢の1つになってくると思います。
ポイント3では、VMwareサービスであるOCVS (Oracle Cloud VMware Solution)に注目しました。
マネージドサービスなのにVMwareのルート権限を持てることが特徴的です。物理リソースはOCIの管理となりますが、顧客のテナント内にリソースが構築されるなど、責任共有モデルでいうと顧客の範囲が多くなっています。
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