はじめに
こんにちは。クラウド事業部の山田です。
先日、Oracle Cloud Infrastracture ( OCI ) の認定資格 OCI Architect Associate に合格しました。
まだ実環境に触れていませんが、試験に加えて公式サイトの情報について所感をまとめます。
目次
前提知識
クラウド系の知識としては下記の通り未経験です。
Azure
- 資格:AZ-900: Microsoft Azure Fundamentals
- 経験:構築案件
AWS
- 資格:AWS Certified Solutions Architect - Professional など5つ
例) AWS Certified Solutions Architect - Professional に合格しました。 - 経験:初歩的な検証
例) WEB3層のシステムをAWSで構築してみた(WordPress):前編
OCI Architect Associate の受験
概要
この試験はオンラインで受験でき、アカウント作成から動画での勉強、受験までを一貫してサイト上で行うことができます。
ただし後述の通り、サイトの画面構成に慣れなかったほか試験直前のトラブルに見舞われるなど勉強以外の部分で負荷が高かったと感じます。
申し込み
下記手順に沿って申し込みますが、他の資格申し込みに比べて工程が多いうえ独特なUIに慣れるまで時間を要しました。
参考)【OCI】Oracle Cloud Infrastructure(OCI)試験申し込みから受験までの流れ
勉強法
今回は専用の学習サイト Oracle Mylearn に記載されている流れに沿って勉強しました。
参考)【OCI】OCI Architect Associate (2024)を10日で合格する
- 15時間の動画「Oracle Cloud Infrastructure Architect Associate 2024 (JP)」を早送りで視聴 ( 1.5倍速でも十分 ) する。
- 練習問題「Practice Exam: Oracle Cloud Infrastructure Architect Associate 2024 (JP)」を全て正解するまで解く。
- その他、受験当日の手順を説明する動画やpdfもあります。
動画
- 15時間もあり、早送りでも視聴には時間がかかります。 自力で理解できる人であれば試験範囲の公式ページを読み進める方が早いのではと感じました。
- 各サービスの機能や制限に関する説明に加えて設定操作のデモも含まれますがそれは飛ばしました。
- 視聴と同時に理解するのは難しく、表示されるスライドの内容を概ねイメージしておき必要に応じてすぐに見返すことができるようにしておくと便利でした。
練習問題
- 本番と全く同じ画面構成と操作による練習問題が用意されており、その点で試験時に悩むことがありませんでした。
練習問題と本番試験の比較
- 練習問題と全く同じ設問が出ることはありませんでしたが、練習問題で出題されたものと全く同じ文言の選択肢が出ることがありました。
練習問題とは全く異なる設問の中にその選択肢が表示されるため、練習問題において不正解とされた選択肢についてもその内容を理解する必要があります。 - 全く同じ設問が出ることがないにしろ難易度としては練習問題と同等のものと感じましたが、一部実業務を想定したやや長文の設問が出ることはありました。
前提知識の必要性
- AWSやAzureにおける同等のサービスをイメージすれば問題なく理解でき、また類似する用語が多く使われているため初歩的な範囲で躓くことはないと思います。
- 一方で実務経験か、AWSやAzureの同等の資格の取得経験などが無ければ動画視聴を早送りで流すようなことは難しいと思います。
初めてのオンライン受験で戸惑ったこと
- オンライン受験では指定のブラウザソフト ( Edge または Chrome ) にプラグインを入れるほか、使用するパソコンのシステムチェック ( 下記 "Readiness Check" ) に非常に時間がかかるなどするため、受験前日までの準備が推奨されます。
- システムチェックの際にはブラウザのテスト画面以外のタブを閉じ、マルチディスプレイの解除も求められます。
受験前の準備の案内 システムチェック中の画面の例 - システムチェックはテスト開始前にも行いますが、私の場合ここで問題が起こりました。
試験開始の30分前にログインして当日のシステムチェックののちテストに入るはずでしたが、事前のチェックには無かったマイク ( "Microphone"の項 ) のチェックでエラーとなり、開始時刻を過ぎてもテストに入ることができませんでした。
調べたところ、使用する録音デバイスで入力に処理を加える機能が禁止となっているのか、ノイズキャンセリングが有効になっているとエラーとなるとの情報がありました。
その情報を元に下記の [排他モード] や [信号の拡張機能] を無効にして再度システムチェックを行い、開始時刻を15分ほど過ぎていましたがテストに入ることができました。
参考) # OCI試験直前の「システム診断テスト」でマイクの「異常が発生!!」と焦った話(+解決方法)
録音デバイスのプロパティ
試験範囲とその実用性について
試験範囲や難易度については、自分も取得している AWS や Azure の初歩的なものと同等という印象を持ちます。
試験範囲に含まれるサービスはおおむねアカウント管理、仮想ネットワーク、仮想マシン、ストレージサービスといったもので、最もイメージしやすいこれらサービスの知識を元に後述する無料トライアルやコスト試算に進むことができます。
ただしこれも他のクラウドサービスの試験と同様に、初歩的な試験範囲では構成の自動化、通知、自動拡張といった用語には触れられていないため、実業務では自力で調べるべき事項が出てくると考えます。
無料トライアル
Oracle Cloud には無料トライアル ( Oracle Cloud Free Tier | オラクル | Oracle 日本 ) があり、30日経過するか300米ドル分のクレジットを消費するまでサービスを試用できます。
参考) 【OCI】Oracle Cloud Infrastructure(OCI)アカウントのつくりかた
※ 実際の画面操作を体感できることを楽しみにしていましたが、問い合わせても解消できないアカウント作成エラーにより断念しました。
参考) Oracle Cloud Always Free の登録でハマりがちな3つのポイントとその対処法
公式情報の確認
今回は無料トライアルによる画面操作や設定を体感できませんでしたが、AWS や Azure より操作がシンプルで未経験でも参入しやすそうな印象です。
さらに、例えば同じ機能を持つ環境を各クラウドサービスで構成することを想定し、下記切り口で比較した場合にどうなるか気になるところです。
・コスト
・可用性のSLAなどの数値
・例外的な要件に柔軟に対応できるか
・自動的な構成のしやすさ、復旧のしやすさ
ここでは実業務を想定してコスト、構築手順、監視に関する情報を公式サイトから探す方法を調べてみました。
コスト
サービスの利用にかかるコストの調査や試算方法にはいくつかあるようです。
まず Oracle Cloud Infrastructure (OCI) トップページ を開き、さらに下記いずれかページに進み確認します。
サービスごとの価格設定
各種インスタンスごとの単価 ( 円/1時間 など) を確認できます。
画面上部 [サービス]タブを選択し、表示される左ペイン [ OCIのサービス ]項 からサービスを選択して右ペインの [ 価格設定 ] を開きます。
表示される [ <サービス名>の価格 ]画面にて、インスタンスの料金表が表示されます。
OCI価格リスト
各種インスタンスごとの単価 ( 円/1時間 など) を確認できます。
画面上部 [ 価格 ]タブを選択して表示される項目から [ OCI Price List ] を開きます。
表示される [ OCI価格リスト ]画面にて、左ペイン[ OCIサービス ] からサービスを選択することでインスタンスの料金表が表示されます。
コスト試算ツール
構成を詳細に指定してインスタンスの料金を見積もります。
- 上記 [ 価格設定 ]画面や [ OCI価格リスト ]画面の [ コスト試算ツール ]ボタンを開くか、画面上部 [ 価格 ]タブを選択して表示される [ OCI Cost Estimator ] を開きます。
- 指定したオプション ( CPU数やメモリ容量 ) の組み合わせで指定した時間インスタンスを起動した場合の見積もりができます。
各種ドキュメント
- 実業務で確認することになる各種ドキュメントの中から気になるものをいくつかを確認しました。あいにく実環境を操作できないため情報の在りかを確認するにとどまります。
- 今回は基礎として OCI Architect Associate の出題範囲に含まれ、検証環境を準備するにあたり真っ先に取り組むであろうコストやアカウントの情報について確認しました。ただし実業務ではそれら設定は別途行われて自身で触れる機会は少ないかもしれません。
- 各サービスごとのページを開くと最初に概要説明ビデオへのリンクが表示されていますが、英語音声の英語字幕のようです。
ドキュメントを表示するには、まず Oracle Cloud Infrastructure (OCI) トップページ を開き、画面上部 [ リソース ]タブを選択して表示される項目から [ ドキュメント ] を開きます。
表示される Oracle Cloud Infrastructure ドキュメント ページのサービス一覧から調べたい項目を開きます。
コスト
[ 請求およびコストの管理 ] セクションの [ 請求 ] から請求や予算の情報が確認できます。
- まずはメインのダッシュボードの確認方法から見るべきかと思います。
- 予算超過のアラートの機能などは AWS の上位資格で問われた記憶があり気になりました。これが無料トライアルでも使えるのであればトライアルの残高を通知できるのかも気になるところです。
アカウント
[ セキュリティ、アイデンティティおよびコンプライアンス ] セクションの [ アイデンティティ・ドメインを使用したIAM ] からユーザーやグループの管理について確認できます。
- アカウント管理でユーザーをグループに入れてそのグループに権限を割り当てる流れになるのは、Windowsパソコンからクラウドサービスに至るまで共通の操作となると思います。さらにここでは AWS と同じ IAM というサービス名からそれがアカウント管理や認証、シングルサインオンを行うためのものだとイメージしやすいと思います。実際の設定に入る際はポリシーを割り当てる際の制限や動作の違いなど、他のクラウドサービスとの差異を意識しつつこのページの確認が必要となりそうです。
公式情報で構築できるか
最後にこの公式情報を参照するだけで OCI 環境を構成できるのか考察します。イメージとしては基本的な環境構築のレクチャーとしてよく用いられる Wordpress の実装のような想定です。
結論としては先行事例、公式情報、別のプラットフォーム ( オンプレや他クラウド ) での経験や OCI 特有の知識など多角的に必要となりそうです。
先行事例
最も単純な情報収集としては先行事例の調査があります。
この場合も制限事項に変化が無いか。より優れたサービスが新たに公開されていないか。など念のため追加調査が必要かと思います。
参考 ) 【初心者向け】Oracle Cloudを初めてみた インスタンス作成〜WordPress環境構築までOracleアーキテクチャ・センター
Oracleアーキテクチャ・センター のページでは様々な要件を想定したアーキテクチャのベストプラクティスが例示されています。
各アーキテクチャにはそれを構成する個々のサービスの説明までまとめて記載されており、業務の要件と合致するものがあれば非常に強い武器となります。ただしここでは仮想マシン上の Wordpress を公開するといった単純な例は見当たりませんでした。
アーキテクチャの一覧 別のプラットフォーム ( オンプレや他クラウド ) での経験や OCI 特有の知識が必要
WordPress の例ではwebサーバー、データベースサーバー、ネットワーク、インターネットからの通信、商用本番環境であればロードバランサーやWAFが用いられることと思います。クラウドサービスでそれを実装する場合にもとりあえずそれら機能をクラウドサービスのインスタンスに置き換えれば機能します。
私がAWSで検証した例 ) WEB3層のシステムをAWSで構築してみた(WordPress):前編
しかしそれも別のプラットフォームにおける知識が前提にあり、さらにそれら機能を OCI のマネージドサービスに置き換えたり ( データベースサーバーをマネージドのデータベースサービスに変更するなど ) 、OCI 特有のサービスで機能を向上させることも想定されます。
ネットワークに関するサービスを選定する場面を例にすると、[ DNS ] 、 [ ロード・バランサ ] 、 [ ネットワーキング ] はオンプレからそのまま置き換えるものと想起できるものと思いますが、それ以外のサービスにどのような機能があり現状の課題に有用かどうか判断できません。
Oracleアーキテクチャ・センターなどを確認して必要としているサービスがすぐに見つかればよいですが、あらかじめOCI独自のマネージドサービスなどについても知っていればなおよく、そのためには資格取得やこれら公式情報の地道な確認が引き続き必要と感じます。
公式ドキュメントのネットワークの項
総括
- 認定試験 OCI Architect Associate で出題されるような OCI の概要は他クラウドサービスの実業務や同等の資格取得の経験があればイメージしやすく、さらに無料トライアルでの操作も可能で手を付けやすいと感じます。
- 公式サイトにはシンプルに情報がまとまっており、コスト試算や各サービスの調査が容易です。
- ベストプラクティスは例示されているものの、あらかじめ知識をつけて有用なサービスを選定できるようにしておく必要性を感じます。
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