APC 技術ブログ

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App Service Environment v3の専用ホストにかかる料金

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こんにちは、コンテナソリューショングループの髙井です。

いつもだと私はAKSの記事を書くことが多いですが、今日はApp Serviceについてです。

App Service Environment v3には専用ホストというオプションがありますが、料金試算しようと思ったら公式のドキュメントが見つからなかったので書きました。

App Service Environment v3の専用ホストにかかる料金

結論から書くと、2022年1月24日 現在では 1時間当たり 5.892 USD とのことです。
(サポートに質問しました)

App Serviceの料金体系

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EnvironmentとかPlanとか いろいろある

専用ホストは上述の通りですが、App Service全体の料金体系が分からないとピンとこないと思うので、この機会にざっくり整理します。

まず、App Serviceを使う場合、大きく2通りに分かれます。

App Serviceの利用パターン
  • App Service Environment を使う(高級)
  • App Service Environment を使わない(普通)

今回は、高級なApp Service Environment(ASE)を使うパターンです。

公式ドキュメントを見ると、以下のように書いてあります。

Azure App Service Environment は、App Service アプリを大規模かつ安全に実行するために完全に分離された専用の環境を提供する、Azure App Service の機能です。

誤解を恐れずにザックリ言うと、ASEはちゃんとネットワーク分離されてます

完全に仮想ネットワーク〈内〉にあるリソースとして扱えるのがメリット(のひとつ)です。

(そうじゃない普通のApp Serviceでは VNET統合プライベートリンク を使ったりしてネットワークの分離性を高めますが、リソース自体はVNETの外にあります。)

App Service Plan と SKU

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SKUにもいろいろある

ASEを使うか使わないかに加えて、SKUにもいろいろあります。

ちなみに、このSKUはApp Service Planに対するSKUです。App Service Planとは、その名の通り、プランです。

サーバレスとはいえど、Azure上にはその実体があるわけで、実体のパワフルさや機能をどのくらいにするかを選ぶオプションになります。

また、リソースは共有されますが、ひとつのプランの上に、アプリをいくつも作ることができます。

ASEとの関係性も整理しておくと、以下のようになります。

  • ASEを使う場合は、ASEの中にプランがある
  • ASEを使わない場合は、プラン単体で存在する

では、肝心のSKUとしてどんな種類があるかというと、以下です。

ASEを使わない場合のSKU
  • Free
  • Basic
  • Standard
  • Premium

また、ASEを使う場合のSKU選択肢は、Isolatedのみです。

ASEには〈専用ホスト〉がある

ASEではSKUがIsolatedしかなくてシンプルかと思いきや、違います。下の3パターン存在します。

ASEでの利用パターン
  • 通常のASE
  • ゾーン冗長
  • 専用ホスト

では、公式ドキュメントを読んでみましょう。

docs.microsoft.com

  • ASEv3: ASE が空の場合には、Windows I1v2 のインスタンスが 1 件あるものとして料金が発生します。 このインスタンス 1 件分の料金は、ASE が空の場合にのみ適用されるもので、そうでない場合に追加で発生することはありません。
  • ゾーン冗長 ASEv3: 9 つのインスタンスの最小料金が発生します。 App Service プランのインスタンスが 9 件以上ある場合でも、可用性ゾーンのサポートのための追加料金は発生しません。 ゾーン冗長 ASE の App Service プラン全体で使用しているインスタンス (任意のサイズ) が 9 つ未満の場合、9 と実行中のインスタンス数の差が、追加の Windows I1v2 インスタンスとして課金されます。
  • 専用ホスト ASEv3: 専用ホストのデプロイでは、ASEv3 の作成時に Microsoft の価格設定に従って専用ホスト 2 つ分の料金が発生したうえで、その後はスケーリング時に Isolated V2 の 1 コアあたりの料金の数 % が発生します。

ここで、少し補足しておくとASEにも実はバージョンがあって、今回は最新のv3について話してます。v2は古いバージョンなので、基本的にはv3を使ってください。

はい、そして気になる文言がありました。

Microsoft の価格設定に従って専用ホスト 2 つ分の料金が発生したうえで

これの具体的な価格がどこにも書いていない(と思った)ので、サポートに質問したという次第ですね。

ちなみに、Azure仮想マシンに専用ホスト(Dedicated Host)というオプションがあり、価格表もありますがASEv3のIsolated v2に相当するような記載はありません。

azure.microsoft.com

この価格表では、最も高級な専用ホストは1時間当たり1.5万円程度かかるとあり、ASEv3の専用ホストは2台分の料金が発生する記載と照らし合わせて考えると、とても運が悪かった場合デプロイした瞬間に1時間3万吹っ飛ぶんじゃなかろうかと思いデプロイして試すのもためらわれていました。

サポートからの返答

ASEv3の専用ホストの料金が気になりすぎて夜も眠れないのでサポートに質問させていただいたところ、ありがたいことに、とても具体的な回答をいただけました。

2022/1/24現在のASEv3専用ホストの料金
  • 1時間当たり 5.892 USD

また、上記情報はドキュメントを探しても見つからなかったと申し添えたところ、たしかに存在しないのでコンテンツを追加できるようにサポート担当の方が専任部署へと上申してくれるとのことでした。

おわりに

ASEv3の専用ホストですが、本日時点の為替レートだと1時間あたり700円弱ですので、単純計算で1か月あたり50万円近くかかります。

私個人で使う日はさすがに一生来ないとは思いますが、無事に料金は試算できるようになりました。さすがに1時間3万円ではなかったので、ちょっとの時間なら試すこともできますね。